タイ政府 パラコート、クロルピリフォス、グリフォサートの全面使用禁止見送り
- 2018/09/02
- 02:43
農業情報研究所>2018年8月24日より転載
タイ国政府‘危険物質委員会’(HSC)が30日、かねて検討してきた3種の農薬―パラコート、クロルピリフォス、グリフォサート―の全面禁止を見送った。これらは現在、部分的に使用を制限されているが、トウモロコシ、キャッサバ、シュガーケーン(サトウキビ)、ゴム、オイルパーム(油ヤシ)、果実など、6種の経済作物に今まで通り使用できる*。
この決定は、タイ工業局長を議長とする委員会会合の後に発表されたもので、議長は健康影響が懸念されるが、即時禁止は植物農業経済にとってよくない。禁止の前に農民に代替物質を見つけ出す時間を与える必要があると言っている。
HSCは、農業・協同組合省の農業局にの3ヵ月かけて詳細を検討してもらう。局はこれ化学物質の使用の抑制方法を考えるべきで、農民はこれら化学物質に関する知識を深め、適切な使用のための訓練も受けるべきだ、これら販売する店も割当を与えられねばならない。違反した者は罰せられるべきだともいう。しかし、制限は機能するかどうか、3ヵ月の間に監視し・評価するとのことである。
とはいえ、遺伝子組み換え反対、タイの有用動植物の遺伝子保護、生物多様性、ローカルノレッジ保護活動など持続可能な農業を求める環境NGO・バイオタイ財団(タイの有用動植物の遺伝子保護、生物多様性、ローカルノレッジ保護活動 )は、HSCの決定は他の国が数十年も前から禁止してきた**危険な化学物質の使用をなお許すのだから何も変わらないと批判する。
財団によると、農業・協同組合省副大臣は農民が化学肥料・農薬を完全に捨てるように促す全国キャンペーン始めると約束した。既に56県の知事が、化学物質(肥料も含め)を使わないように農民に働きかけているという。
HSC eases its farming chemical ban,Bangkok Post,18.8.31
Groups slam partial ban on ‘dangerous’ farm chemicals,Nation,18.8.31
*タイ産輸入食品からのパラコート等の検出例(厚生労働省)
輸入食品に対する検査命令の実施~タイ産オオバコエンドロ、その加工品~
・・・・・・
*グリホサートについては発癌性が疑われているが、禁止している国は未だ少ない。最近のカリフォルニア州陪審の判決(米国陪審、元校庭整備員の悪性リンパ腫の原因はラウンドアップ除草剤・グリホサート)を受け、禁止に向けた動きは今後広がる可能性がある(日本は例外、グリホサート規制は緩和されるばかりである。