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北海道地震に伴う農業災害―自然災害にも貿易自由化にも強い農業を

農業情報研究所2018811日より転載

96日午前3時、北海道を襲った過去最大の地震とそれに伴う道全域にわたる停電は、加工・流通・販売などの農外産業への依存を深めつつ大規模化・近代化を進めてきた北海道農業、とりわけ酪農業に甚大な被害をもたらした。停電は早晩回復するだろう。しかし、農業の復旧、とりわけ農家が受けた経済的損害を取り戻すには長い時間を要し、相次ぐ廃業(相次ぐ酪農の廃業。今夏、牛乳が品薄になる恐れも<鈴木宣弘> 生活と自治 2018615)に拍車をかける恐れがある。

北海道地震 大停電影響広がる 生乳供給に打撃も 農産物流通混乱続く 日本農業新聞 18.9.

十勝の酪農家「生乳出荷できない」 胆振東部地震 北海道新聞 18.9.8 

生乳廃棄1万トン超も 過去最大 工場停止、冷却できず 北海道新聞 18.9.8 

停電、牛乳やバター直撃北海道工場停止(核心) 東京新聞 18.9.8 朝刊 3 

北海道の広域停電で根室管内では日量約2000トンが廃棄されている そりゃおかしいぜ第三章 18.9.7

熊本地震に際し、これは「余りに「人工化」された近代的農業―(巨)大規模施設型農畜産(果樹、野菜、畜産)―に対する自然から警鐘ではないのか」と書いた(熊本の鶏舎崩壊 災害列島 人工化された農業への自然からの警鐘,16.4.30)。あるいはフランスの教訓に鑑み、安倍政権が推し進めるTPPに強い農業は災害に弱い農業ではないかとも書いた(TPPに強い農業は災害に弱い農業 フランスの教訓,16.4.21)。

北海道大地震は、これを改めて想起させることになった。それは、戦後一貫して近代化を推し進め、労働と自然資源と土地を資本に置き換えて「集約化」を推進、地力維持や病害虫防除のため、あるいは経営内資源の相互補完的利用を捨て、単一の作目を大量生産する「専門化」、「規模の経済」(機械等の効率的利用)を享受するための「経営の拡大・集中」を追求してきた日本の農業開発のあり方を見直す契機とせねばならない。めざすべきは単なる「復旧」ではなく、自然災害にも・貿易自由化(TPP,日欧EPA)にも強い、持続可能な農業の再構築ではなかろか。

石油危機、たび重なる自然災害で危機に直面した1970年代ランス農民の多くが選らんだ道は、より大きな投資計画を立て・一層借金をし・労働を強化し・専業経営として生き残りを図るのではなく、敢えて「経営縮小計画」を立て、外部からの購入は極力減らし、不足する所得は農外兼業(直接販売、自家加工、民宿・レストランなどを含む)で補う「多様な農業」への道であった(北林寿信 EU共通農業政策(CAP)の改革とフランス農業の対応―「生産主義」克服の視点から 『レファレンス』 19962月号 12頁)。

(今後起こり得る日本の最大の農業災害は、フランス・ヨーロッパ農政がめざす方向と真逆の方向にまっしぐらの安倍晋三が自民党総裁選で圧勝することから来るだろう=農業成長産業化という妄想――「安倍農政」が「ヨーロッパ型」農業から学ぶべきこと  世界(岩波書店) 20169月号

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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