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トランプ人気を支える要因は何か 東京新聞:「米国白人社会 トランプに熱狂する心理」に寄せて

今日の東京新聞:世界と日本 大図解シリーズが「米国白人社会 トランプに熱狂する心理」題し、米国人が「トランプに熱狂する心理」を解説しています。「白人人口の減少=2040年には半数割れ」、「増える移民」、「ラストベルト=消えたアメリカンドリーム」の三つの不安が白人の絶望を生み、一貫して白人が優位だった時代の回復を訴え・差別的言動を繰り返すトランプ大統領の支持につながっているという。そして白人の絶望は上昇する白人死亡率と死亡理由に表れていると言います。

 すんなり納得という方もおられるかもしれませんが、この大図解は「学校の教材に役立つ大図解」と銘打たれています。正確を期して若干の補足をしておこうと思います。

 自殺率上昇に示されるような「白人の絶望」がトランプ人気を生んでいるのは確かなことでしょう。

しかし、「トランプ氏を大統領にした場所」は、何よりも米中西部から北東部(イリノイ、ミシガン、インディアナ、オハイオ、ペンシルバニア)、斜陽産業がに広がるラストベルト(錆びついた工業地帯)です(トランプ氏を大統領にした場所、ラストベルト WSJ)。この地域諸州における移民人口の比率は、イリノイの13.7%を除くと4.1%(オハイオ))から6.0%(ミシガン)。10%から20%を超えるところまである東海岸、南海岸(フロリダ、テキサス)地方や西海岸地方(ネバダ、カリフォルニア、ワシントン)に比べるとはるかに低い(大図解の大地図)。

 自殺率上昇についてははどうか。19992016年の上昇率を州別に見ると、ミネソタ、ノースダコタ、モンタナ、サウスダコタ、ワイオミング、アイダホ、ユタなど中西部諸州が38~58%で最高だが、次いでラストベルト(ミシガン、インディアナ、オハイオ、ペンシルバニアが31%から37%と高い。沿岸諸州でそれより高いのはサウスカロライナだけだ(Suicide rising across the US More than a mental health concern,CDC)。そして、中西部諸州とラストベルトの移民割合は概して低い(2~8%)。

自殺率上昇と移民比率には必ずしも相関関係が見られず、自殺率上昇には対人関係、薬物使用、身体の健康のほか、仕事、金(カネ)、逆境、ハウジング・ストレスなど、ラストベルトに見られるような経済全般の落ち込みが大きく関係しているようだ(CDC前掲、及び 米国では、なぜ自殺率が増え続けているのかThe New York Times 2016.5.11) 東洋経済Online 206.5.11)。

 

  要するに、トランプ政権を支えているのは移民増加から来る白人社会の漠然とした不安というより、国際競争の激化で鉄鋼、石炭、自動車など重工長大産業が苦境にあえぐ地域の白人労働者層の危機感ではなかろうか。不法移民の取り締まり強化はトランプ支持の副次的要因にすぎないように思われる。

 前掲New York Time=東洋経済によれば、

 「米国疾病予防管理センターの疫学者アレックス・クロスビーが1920年代の不況と自殺の関連性について調査したところ、景気が悪化したときに自殺率が最も高かった。米国の現代史上、最も自殺率が高かった年のひとつが大恐慌の最中の1932年で、10万人当たり22.1人と、2014年より70%も高い。

これは2564歳まで全般的にみられた傾向で、「一貫したパターンがあった」とクロスビーは言う。「経済が落ち込めば自殺は増え、経済が上向けば自殺は減った」。

 (もしもこれが正しいとすれば、トランプを熱狂的に支持する次な場所は、トランプが仕掛けて対中貿易戦争で大豆・トウモロコシの巨大輸出市場を失って農業不況に悩む中西部・コーンベルトとなるであろう。トランプは、失われた市場を取り戻すべく、日本の農畜産物市場開放に狂奔するに違いないい)

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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