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海の何が分かるのか 漁村の民主化を阻害 漁業法改正

漁業・水道・種子 誰のための改革か(社説) 東京新聞 18.12.6

 「アマモの種をまこうじゃないか」。「邪魔藻」とも呼ばれた海の雑草だ。起死回生の一手として、藻場の再生を提唱したのは、海辺に暮らす漁師の直感だった。

 水産試験場と協力し、漁師たちが海で種をまく。アマモが成長するに連れ、好循環をもたらした。

 酸素が豊富に供給されて、プランクトンが増殖し、魚が増えた。

 「海中の森」が日差しを調節し、夏場のカキの斃死(へいし)は減った。

 これまでにまいたアマモの種は、一億粒にも上るという。日々の手入れも怠らない。

 「漁業とは、海の命を搾取し続けることではありません。海のお世話をすることです」と、日生の漁師に教わった。

 浜の漁師は、そこで未来を生き続けるために種をまく。経済の原理、資本の論理だけでは、恐らく海を守れない。持続可能性を維持できない。

<水産改革法参院委可決>「海の何が分かるのか」漁業者に懸念や戸惑い

 河北新報 18.12.8

 漁業権の優先順位撤廃や海区漁業調整委員の公選制廃止を含む水産改革関連法案は7日、与党が採決を強行し、参院本会議で可決される見通しとなった。70年ぶりの漁業制度の抜本改革は漁業の針路をどう変えるのか。東日本大震災からの復興を歩む水産県・宮城の漁業者は、国主導で一気に進められた改革の行方を危ぶんだ。
 「70年変わらなかった漁業法の改正が数カ月遅れたところで、何の支障が出るのか。海の何が分かるのか。全国の漁民の声をもっと落とし込むべきだった」
 石巻市北上町でワカメの養殖を手掛ける阿部勝太さん(32)は、拙速にも映る国の対応をいぶかる。
 震災があった2011年の11月に地元漁業者と漁業生産組合「浜人(はまんと)」を設立。14年には若手漁師らと一般社団法人「フィッシャーマン・ジャパン」をつくり、販路拡大や担い手育成に力を注ぐ。
 漁業権の優先順位廃止は養殖業へ企業参入を促す狙いがある。「金もうけが目的の参入は困るが、地域や国の漁業、食産業の将来を見据え、共に取り組める企業が来るなら悪い話ではない」と冷静に受け止めつつ「熟練の漁師も試行錯誤している。突然参入してきた企業が急にうまくいくとは思えない」と話す。
 関連法案には、漁業権の適格性や漁場区割りなどを審査する各都道府県の海区漁業調整委員の公選制を廃止し、知事による任命制とすることも盛り込まれた。
 宮城海区委員の漁師赤間広志さん(69)=塩釜市=は「漁村の民主化を阻害し、紛争調整に当たってきた海区委を有名無実化する」と危機感をあらわにする。6日の参院農林水産委員会では、参考人として公選制廃止に異を唱えた。
 震災後の12年、村井嘉浩宮城県知事が導入を提唱し、漁業権を企業に開放する水産業復興特区に疑問を抱き海区委員選挙に立候補した。現在2期目になる。
 宮城海区委は委員15人のうち9人が公選だが、1984年から9回連続で無投票が続く。そうした状況に危機感を覚えたことも名乗りを上げた理由の一つだ。
 赤間さんは「選挙によって海と共に生きる者全ての民意を拾うことができる」と主張。「知事の権限は大きい。知事任命になれば、海区委の恣意(しい)的運用が可能になる」と危惧した。

   [参照]

漁村崩壊につながる 失敗例に学ばない漁業制度改革 農業情報研究所 18.11.7

改正漁業法が成立 参院農水委員長解任案は否決 日本経済新聞 18.12.8 

水産改革法 企業参入・漁獲枠の売買に道筋 沿岸漁村に迫る危機 長周新聞 18.2.1

漁業権見直しに異議 東北の漁師が緊急集会「漁業者に一切説明のない改定許せぬ」 河北新報 18.11.20

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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