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核ごみ最終処分地「科学的特性マップ」は「科学的」?もっと実のある議論を(31日追補)

昨日(29日)伝えたように、資源エネルギー庁が原子力発電に伴って発生する「高レベル放射性廃棄物(核ゴミ)の最終処分場の候補地となり得る地域を示した「科学的特性マップ」を公表した。

 

ところが、29日に開かれた幌延深地層研究センターで研究されている高レベル放射性廃棄物の地層処分をテーマにした全国交流会において新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)が講演、政府が28日に公表した核のごみの最終処分に適した地域を示す「科学的特性マップ」について、「科学的とはいえず、国民の理解が得られるとは思えない」と語ったそうである。

立石名誉教授によると、この「特性マップ」は「大地震を起こすかもしれない活断層は地下にも存在するのに地図では地表に出ている活断層しか考慮されていない」、だから「科学的」とは言えないということのようだ。

 

核ごみマップは「科学的でない」 立石新潟大名誉教授が講演 北海道新聞 17.7.30

“核のごみ”処分を考える集会 NHK NEWS WEB 17.7.29

 

もっともな話のようだが、よく考えるとちょっとへんだ。そもそも「科学的」な特性マップなどあり得るのか。「科学的」な特性マップとは、10万年の間安全が保障される地層処分の場所ということだろう。そんな場所が日本列島にあり得るのか。誰も「科学的」には答えられないと思うが、立石教授の批判は、そういう場所があり得ることを前提としている(としか思えない)。だからへんだと言うのある。

特性マップ作成者にも自信があるわけではない。だから、このマップ作成においては、これまでにに確認されている一定規模以上の活断層が包括的に整理された既存の「活断層データベース」を使ったが、「これ以外にも、地表に現れていない等の理由から、現時点では確認できていない活断層が存在する可能性」があるから、「そうした活断層の存在の可能性や影響については、処分地選定調査を受け入れていただいた地域において、詳しく調査・評価していくことになります」と言っている(科学的特性マップ公表用サイト」。

 だが、「科学的」特性マップはあり得ると思っている(前提している)。だからへんなのだ。そもそも「科学的」マップがあるかどうか分からないのに、科学的だとか、科学的でないとか言い争うのはしょうもない(非生産的である)。この地図が示す「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」地域(グリーンの地域・下図、以下「好ましい地域」と呼ぶ)とされた地域にもこういう問題があるといった実のある議論を期待したい。

 

 千葉北東端から下北半島に至る太平洋岸(東日本大震災被災地)は言わずもがな、全域が「好ましい地域」とされた佐渡島も2012年2月8日夜、震度5強の地震に襲われている。震源域は北米プレートとユーラシアプレートの境界線に当たり、ひずみがたまりやすいとされている。日本海側でもマグニチュード(M)7級の大地震が起こる可能性も早くから取り沙汰されている。「科学的」かどうか争う前にそう言えば済む話だ。そんなことを言っていけば、日本列島のどこにも「好ましい地域」などないことが誰の目にも明らかになるだろう。誰が見ても、10万年どころか明日の安全も保障されない地域ばかりだろう。「科学者」として教授にはそう言えないかもしれないが、人としてそう言って欲しかった。

 それさえ分かれば、「科学的」かどうかなどどうでもいい。

「科学や芸術は一種の贅沢にすぎない、虚偽の装飾にすぎない」あるいは「自然はけっして我々を欺かない。我々自身を欺くのは、つねに我々である」(ジャン・ジャック・ルソー)。

10万年の安全を保障する「科学的特性マップ」など、「虚偽の装飾」か「我々自身」の自己欺瞞の産物でしかあり得ない。それを「科学的でない」と批判するのも「科学的特性マップ」があり得ることを前提にしているのだから、これもまた「虚偽の装飾」か自己欺瞞だろう。自然(東日本大地震や佐渡大地震)はけして我々を欺かない。

                                                                    関連:「『特性マップ』は塗り絵。科学的じゃない!」~地質学者の立石さんが批判どうする“核のゴミ”〜北海道・幌延から 17.7.30)

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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