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石木ダム 強制収用

石木ダム全用地収用裁決 反対地権者宅地も 明け渡し求める 長崎県委員会 長崎新聞 19.5.23

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地計約12万平方メートルについて、県収用委員会(梶村龍太会長)が、土地を明け渡すように地権者に求める裁決を出したことが22日、分かった。ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用することが可能になった。地権者側は反発を強めている。
 県は土地収用法に基づき、地権者の同意が得られないなどの理由で買収できなかった用地計約126千平方メートルについて、201416年に3回に分けて、県収用委に明け渡し裁決を申請。最初に申請した農地計約5500平方メートルは既に明け渡し裁決され、158月までに収用されたが、事実上地権者らが占有している。
 今回新たに裁決されたのは、157月と165月にそれぞれ申請した計約12万平方メートルで、計画ではダム本体や貯水池などになる。13世帯が現住する宅地や公民館などの共有地を含む。
 関係者によると21日に長崎市内で収用委があり、裁決した。178月までに複数回開いた審理に反対地権者の出席はなく、県の立ち入り調査も拒否されていた。
 建設予定地では現在、ダムに水没する県道の付け替え道路の工事が進むが、反対地権者が連日現場で抗議運動を続けている。県の本年度当初予算案には本体工事費が初めて盛り込まれた。中村法道知事は取材に「(収用委の)結果を知らず、コメントできない」と前置きしつつ、「(反対地権者の)理解を得る努力は継続して重ねていく」とした。
 事業を巡っては、反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟が福岡高裁で係争中。一審長崎地裁判決はダムの必要性を認め、原告の訴えを退けた。他に反対地権者らが県と佐世保市に工事差し止めを求めた訴訟も長崎地裁佐世保支部で争っている。

石木ダム全用地収容採決 迫る知事判断 地権者引かず 長崎新聞 19.5.23

 今回の裁決で、石木ダム建設事業は大きな局面を迎えた。土地収用法では、明け渡し期限までに地権者が応じなければ、起業者(石木ダムの場合は県と佐世保市)は知事に行政代執行の請求が可能。請求を踏まえ、知事が対応を判断することになる。県は「まずは円満に協力いただきたい」と強調するが、地権者は一歩も引かない構えだ。
 付け替え県道迂回(うかい)路部の用地(約5500平方メートル)は20156月に裁決が出て、同8月までに収用されたが、現在も地権者による耕作が続いている。県河川課は「工事の工程上、今すぐ(立ち退かせるなどの)代執行をする必要はない」として説得に当たっている。
 一方、今回裁決が出たダム本体(約3万平方メートル)と貯水池(約9万平方メートル)の用地は家屋13世帯を含むため、交渉はさらに難航必至だ。県が掲げるダムの完成目標年度は22年度。このまま住民が住み続ければ、中村法道知事はいずれ行政代執行の判断を迫られることになる。
 県用地課によると、1998年度から昨年度までに県の事業計81件について、県収用委員会に裁決申請したが、このうち行政代執行に至ったのは2例だけ。1例は立木の伐採で、もう1例は07年、佐世保市内の県道を整備する際に住居1世帯を立ち退かせたという。いずれにせよ、石木ダムで行政代執行されれば、県にとって前例のない規模となる。
 ダム反対運動に詳しい呉工業高等専門学校(広島県)の木原滋哉教授は「(実際に行政代執行をすれば)聞いたことがない規模。居住者がいていろいろな意見がある中で代執行をすれば反発を招くだけだ」と懸念を示した。

「まるで強盗」「屈しない」 反対地権者 不信感募らせる 長崎新聞 19.5.23

 石木ダム建設事業を巡り、県収用委員会が、宅地を含む約12万平方メートルの明け渡しを地権者に求めた裁決。反対地権者13世帯が暮らす宅地の強制的な収用が一層現実味を帯びた。「権力の脅しには屈しない」。住民らは古里を守る決意を口にし、行政側にいら立ちと不信感を募らせた。
 建設予定地では、ダムに水没する県道の付け替え道路の工事を進めたい県側と、連日現場に座り込んで抗議する反対住民らのにらみ合いが続く。22日も住民や支援者らが朝から作業道に座り、県職員らが様子をうかがっていた。
 昼すぎ、裁決の情報が現場に伝わると、地権者の岩下和雄さん(72)は「これで県との話し合いの糸口はなくなった」と言い切った。同じく地権者の岩本宏之さん(74)は「売りたくないと言えば、無理やりにでも土地を奪い取る。まるで強盗だ」。かつて収用委員の1人が反対地権者らの抗議活動に「阻止されたらどんどんブルドーザーを突っ込んで」と発言したのを踏まえ「独立機関と言いながらも結局は県の下部組織。そんな収用委の裁決は無効だ」と吐き捨てた。
 地権者の石丸勇さん(70)は自身の農地で田植えの準備をしていた。2015年に農地の一部を収用されたが、変わらず耕作を続ける。「(一部の土地だけ先に収用したのは)住民を分断する意図があったかもしれないが、古里を守る決意が揺らぐことはなかった。今回も変わらないよ」と落ち着いた様子で汗をぬぐった。
 実家の鉄工所で働く住民の松本好央さん(44)は「報道で知った」と少し驚いた表情。まだ小学生だった1982年、県が機動隊を導入した強制測量では大人に交じって抗議に参加した。現在はこの土地で父となり、子どもたちを守る立場。「ここで暮らす人たちを差し置いて大事なことを決めてしまう。一体俺たちって何やろうね」とぽつりとつぶやいた。
 地権者で川棚町議の炭谷猛さん(68)は「県は手続きさえ進めれば、どうにかなると本気で思っているのか」と眉をひそめた。収用に向けた手続きが着々と進む中、反対住民が置き去りにされる状況に危機感を覚え、4月の町議選に初めて立候補。ダム反対を正面から訴え、トップ当選した。「このまま強引に進めれば世論は必ず反発する」と語気を強めた。
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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

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