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最高裁判事・菅野博之の名前も覚えておこう 現代の大岡さまはいなかった

明海の漁民に死ねと」…諫早開門敗訴、最高裁決定に落胆 営農者は歓迎 毎日新聞2019627 2119(最終更新 628 0045)


諫早開門の上告を棄却 最高裁、開門の可否には言及せず 漁業者敗訴確定

毎日新聞2019627 2106(最終更新 627 2334)

諫早湾干拓潮受け堤防と北部排水門=長崎県諫早市で2018521日、本社ヘリから森園道子撮影


 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防閉め切りで深刻な漁業被害を受けたとして、漁業者らが堤防排水門の開門などを国に求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は26日付で漁業者側の上告を棄却する決定を出した。開門を認めず漁業者側敗訴とした2審・福岡高裁判決が確定した。

開門の可否について最高裁で司法判断が確定したのは初めてだが、小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べ、可否の判断には言及しなかった。裁判官4人の全員一致の意見。

 1審・長崎地裁判決(20116月)は開門請求を退ける一方、漁業被害の一部を認めて漁業者に約11000万円を支払うよう国に命じた。これに対して福岡高裁判決(159月)は、漁業被害を認める一方、漁場環境悪化と堤防閉め切りとの因果関係は認められないと指摘。1審に続いて開門請求を退けた上で賠償命令も取り消し、漁業者側の全面敗訴とした。

 諫早干拓を巡っては、漁業者側が開門、営農者側が開門しないことを国に求める提訴が相次いだ。漁業者が開門を求めた訴訟で福岡高裁が1012月、閉め切りと漁業被害の因果関係を一部認めて5年間の開門を命じ、旧民主党政権が上告せず確定。営農者らが起こした開門差し止め訴訟では、長崎地裁が1311月に開門差し止めの仮処分を認め、174月には同地裁が判決で差し止めを命じ、司法判断にねじれが生じた。

 板挟みになった国は、双方から判決や決定に従わない場合の制裁金支払い(間接強制)を求められた。

 国は14年、開門を命じた福岡高裁判決の無効化を求める請求異議訴訟を起こし、2審・福岡高裁は187月、国側の主張を全面的に認める判決を言い渡した。漁業者側の上告を受け、最高裁は7月に弁論を開く。

 小法廷は26日付で、開門差し止め訴訟への独立当事者としての参加などを求めた漁業者らの上告を棄却する決定も出した。【服部陽】

 山口祥義(よしのり)・佐賀県知事のコメント (最高裁で)726日に請求異議訴訟の弁論期日が設定されているこの時期に、このような決定が出され大変驚いている。

 中村法道・長崎県知事のコメント 最高裁が「開門を認めない」との方向性を示したと認識しており、県の要望にも沿ったものと受け止めている。

 識者「最高裁は決定理由説明を」

 熊本県立大の堤裕昭教授(海洋生態学)の話 潮受け堤防を閉め切ったことで潮流が変化した。有明海再生のためには絶対に開門したほうがいい。ただ、最高裁がどういう理由で、またどういった論理で今回の決定を導き出したのかが分からないと、決定がおかしいとも言えない。最高裁は「上告理由に当たらない」としているが、その理由をきちんと説明すべきだ。

  

<関連> 

開門調査の必要性指摘 長崎大・東名誉教授ら講演 長崎新聞 19.6.13

「諫早湾 底生動物と漁業の衰退一致」

有明海の底生動物の推移を説明する東名誉教授(右)と佐藤教授=諫早市立諫早図書館

 有明海の生態調査を続けている東幹夫・長崎大名誉教授と佐藤慎一・静岡大教授が11日、諫早市内で講演した。1997年の国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切り以降、魚介類の食物源となるヨコエビ類などの底生動物の生息数の推移をまとめた研究を踏まえ、東名誉教授は「漁船漁業の衰退と一致しており、(2010年の)開門確定判決に従った開門調査で有明海の再生を」と指摘した。

 研究グループは97年から毎年、有明海北部の50カ所で泥を採取し、堆積物に含まれる底生動物の平均生息数を調査。報告によると、閉め切り以降、減少したが、2002年の短期開門調査後、前年の6倍超に急増。それ以降、ヨコエビ類が増減しているが、全体的に衰退しているという。

 佐藤教授は、閉め切り後に頻発する貧酸素水塊などで底生動物が死滅している状況を挙げ、「常時開門で海水が双方向に行き来すれば、潮流や底質が改善され、底生動物が増え、魚介類も増える。今のままでは有明海の底生動物はあと10年でいなくなると危惧している」と述べた。

 諫早湾の干潟を守る諫早地区共同センターが主催。約80人が聴講した。

諫干訴訟 7月に最高裁弁論 「差し戻し可能性大」 「漁業権」解釈見直しか 長崎新聞 19.5.25

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が国と漁業者双方の意見を聞く弁論を7月に指定したことを受け、漁業者側弁護団が24日、福岡市内で会見。馬奈木昭雄弁護団長は「開門確定判決の効力に関する解釈の誤りが認められた」と述べ、請求異議訴訟控訴審判決の「10年免許制の共同漁業権消滅」の解釈を巡って判決が見直される可能性を指摘。「判決が破棄され、高裁に差し戻される可能性が大きい」と述べた。
 同事業を巡っては、漁業者が起こした開門請求訴訟で、福岡高裁が201012月、潮受け堤防閉め切りと漁業不振の因果関係を認め、国に「3年猶予後の1312月から5年間開放」と命じた判決が確定。国は14年、確定判決に基づき開門を強制しないよう求める請求異議訴訟を起こした。昨年7月の福岡高裁判決は国の請求を認め、開門確定判決を事実上「無効」とした。漁業者側は昨年8月に上告。最高裁第2小法廷は今月22日、726日に弁論を開くことを決めた。
 弁護団によると、確定判決がその後の訴訟の判断を拘束する「既判力」を定めた民事訴訟法に福岡高裁判決が抵触すると判断されたとみられる。馬奈木団長は「1312月の開門期限より前の同8月に共同漁業権が消滅した、との理由で切り捨てた判決の問題点を最高裁は見逃さなかった」と分析。堀良一事務局長は「過去にも最高裁は和解による解決が望ましいとしており、この判決が差し戻され、和解を促す可能性が大きい」と今後の展望を示した。

<平成という時代>諫早湾干拓事業 権益優先、住民犠牲の上に 東京新聞 19.4.26 朝刊 2

見渡す限りの農地を冷たい風が吹き抜ける。今月中旬、長崎県諫早市の中央干拓地。二〇〇八(平成二十)年の営農開始当初から野菜を作ってきた松尾公春(きみはる)さん(62)は、怒りをこめた。

 「干拓は農家のためではない。役人が守ってきたのは天下り先の会社や公社だ。農家や漁師を犠牲にして何のための公共事業か」

 松尾さんは隣の島原市で水産加工業と農業を営んできた。県の勧めで水代を含め、年約六百万円で三十ヘクタールの畑を借り、干拓農地で大根や赤シソを作ってきた。

 「干拓地の農業は厳しいです。海流が来ないので冬は非常に寒く、レタスなどは霜でやられやすい。優良農地で大規模農業ができるという触れ込みだったのにハウスが増えているのは、おかしかです」

 元は泥の干潟なので、土は乾くと硬く固まり、水はけが悪い。当初、四十一の農業法人が入ったが、事業に行き詰まるなどして十一法人が入れ替わった。

 宝の海と言われた諫早湾が南北七キロに及ぶ潮受け堤防で閉め切られたのは一九九七年四月。「止まらない公共事業の典型」と批判されながら、農林水産省や県が固執した大きな理由は天下りという権益の維持だった。

 前年に作成された全国農業土木技術者名簿には、干拓工事を請け負ったゼネコン三十一社に二百五十人の農水OBの名があった。設計や測量を受注したコンサルタント二十五社にも百五十三人の農水OBがいた。「OBのいない会社は、農水省の仕事はまず取れない」。あるゼネコンの幹部は当時、そう話していた。

 湾が閉め切られる直前、現地を訪ねた。ムツゴロウで知られた干潟では人々が貝採りを楽しんでいた。有明海の異変が始まったのはその翌年からだった。

 「湾の閉め切りで潮の流れが遅くなり、海の撹拌(かくはん)機能が落ちて赤潮が発生するようになった」。佐賀県太良(たら)町の漁師、平方宣清(のぶきよ)さん(66)は海に潜って二枚貝のタイラギを採っていたが、休漁に追い込まれた。アサリやクルマエビも姿を消し、ノリの色落ちも起きた。設備投資による借金苦などで自ら死を選んだ漁師らは沿岸四県で二十人を超えた。干拓が生んだ悲劇だった。

 「干拓地を造ったのは政治家、官僚、業者の癒着が大きな原因だったことが分かってきた」と平方さん。〇三年には、ゼネコン約三十社に違法な献金を要求していた自民党長崎県連幹部の元県議らが地検に逮捕された。業界は八六年の干拓開始から二〇〇〇年まで、計六億三千万円の突出した献金を県連にしていた。

 「公共工事の受注実績で献金額を割り振っており、暴力団組織の上納金を連想させる」。判決理由で裁判長が厳しく批判したのは、巨大事業をえさにした自民党流の集金システムだった。

 漁業者は、有明海の再生には堤防の常時開門が必要と主張し続けるが、国は頑(かたく)なに拒み続ける。「開門すれば干拓が海洋汚染の原因と証明される。だからよう開けんのですよ」と松尾さん。代わりに国や県は、〇二年度から有明海の再生と調整池の浄化事業を続け、既に約七百億円の税金を費やしている。

 工事を中止していれば環境破壊も、その後の税金の垂れ流しも起きなかった。政府は今また沖縄で、民意を無視して米軍新基地建設のための埋め立てを強引に進める。諫早の愚を繰り返さないために、今度は止めなければならない。 (杉谷剛)=おわり

諫干閉め切り22年 司法に限界 対話模索する市民 研究者「多様な利害関係調整を」 長崎新聞 19.4.13

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りから14日で22年になる。国は20174月、開門せずに漁業振興基金で和解する方針を示したが、解決の見通しは立たない。一方で、訴訟以外の対話を提起する動きが続いている。

 「開門の賛否と別に、漁業者と農業者、市民の対話の場が必要です」-。315日朝、「諫早湾干拓問題の話し合いの場を求める会」の3人は、諫早市森山町の民家を訪ね歩いた。

 約2時間で20軒余り。「開門すれば塩害や湛水(たんすい)で危ない」「国は開門しないと言っているのだから、いまさら話し合って何になるのか」-。住民は防災面の不安を明かしつつ、国の「非開門」方針が確実になる日を黙して待つ心境が垣間見えた。

 同町での署名開始から約5カ月。訪ねた119軒のうち、93101人が「話し合いの場」の設定に賛同。16年の結成後、約4100人分を集め、関係機関に提出する準備を進める。世話人の横林和徳さん(73)は「相互の考えを聞き、現状での事実を共有することで、農業と漁業、防災の共栄ができるのではないか」と話す。

 「開門しない方針で、和解協議の機会があれば参加したい」-。国は「非開門」方針後、こう繰り返すが、長崎地裁で係争中の開門訴訟など2件は和解協議に至る気配はない。

 さらに、開門派漁業者が高裁で敗訴した3件は最高裁に係属中。開門派弁護団は今年に入り2回、最高裁に慎重な審理を求める要請書を提出。高裁への差し戻しを視野に活発に動く。

 事業を巡っては、諫早湾干拓紛争に関する共同研究が昨年秋、法学専門誌「法学セミナー11月号」(日本評論社)で特集された。法学と政治学の研究者7人が60ページにわたり論文や弁護団インタビューを執筆した。

 横浜国立大の西川佳代教授(民事手続法)は、特集発表をこう語る。「民事裁判での法的紛争解決は基本的には金銭貸借のような『個人対個人』の紛争を念頭に置き、法律の要件に合うように事実を研ぎ澄ました上で解決する。しかし、諫干問題では地域や住民の利害、歴史的経緯が複雑に絡み、政治も行政も機能できていない。そこに裁判所が判決を出したところで事態は結局動かなかった。今の法や裁判の仕組みによる解決に限界があるということを共通認識にすることで、長年翻弄(ほんろう)されている住民や地域に打開策を示すことができたらという狙いがあった」

 論文では、多様な利害関係を調整する民事紛争処理手続きの可能性を検討。取材に対し、「開門か否かだけでなく(地域の再生のために)裁判の当事者以外からも広く解決策を拾い、新しい観点や知恵が出てくることでさまざまな形の和解手続きも考えられないか」と提言する。

 同事業を巡る問題が法廷に持ち込まれて16年余り。司法での解決には限界があり、漁業者や農業者の一部とも溝を深めた上、地域に影を落とし続けている。事態をどう収束させ、解決に導くか。国にはその対応が迫られている。


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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

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