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改めて問われる参議院の存在意義

  参議院選挙が終わった。「参議院」選挙とはいえ、中身は「衆議院」選挙と全く同じだ。国民、マスコミも、これを当然のことと受け入れているようだ。我々が参議院は「良識の府」と教わったのはそう昔のことではなかったのだが。
 そんな中、参議院の存在意義を改めて問ういくつかの地方紙論説が見つかったので紹介する。一番見て欲しいのは、今回当選した参議院議員たちだ。ただ、彼ら彼女らに、これがどれだけ理解できるだろうか。理解するためには、票集めの見込み次第でくるくる変わる自らの政治理念(綱領、公約、マニフェスト)問い直すことが必要だ。



  1.地軸 二院制の原点 愛媛新聞 19.7.22

 連合国軍総司令部(GHQ)は日本の国会を一院制にする意向だったとされる。そのほうが審議は短時間で済み、コストも安くつく。それを日本側が二院制に固執し、GHQに認めさせた▲
 1946年、衆参二院制を明記した新憲法案の国会審議で「一院制で十分ではないか」と質問が出た。憲法担当の大臣だった金森徳次郎が意義を訴えた答弁が残る。「参議院は一種の抑制機関。二院制は多数党の一時的な勢力による弊害を防止するものである」と▲
 先の時代に戻すまい―。そうした決意も込められていただろう。民意を尊重し、政府や衆院の行き過ぎを抑える「良識の府」の始まりだった。今や与野党対決の場となり、衆院同様に採決の強行が繰り返される。理想の姿とは随分懸け離れた▲
 ここにきて民意との距離まで遠のいた感がある。1票の格差是正を理由に「徳島・高知」「鳥取・島根」の反対を押して合区制度が続く。定数を増やし、埋め合わせに3年間だけ歳費を自主返納する。選挙改革は小手先にとどまり、身を切る約束も棚上げのままだ▲
 昨日の低投票率はそんな参院に対する厳しい評価だった。期日前投票の拡充や18歳選挙権の導入など投票所へ足を運ばせる取り組みは進むものの、肝心の政治自体の磁力が弱い証しである▲
 衆院の単なる追認や形だけの改革を続けては存在意義をますます失う。二院制の原点に立ち返る改革姿勢を今度こそ見せてほしい。

 

2.小社会 参院の初心 高知新聞 19.7.22


 衆院は任期4年で解散もある。対して参院は解散がなく、任期も6年で衆院より長い。憲法の規定から浮かぶ参院像は、個々の議員の良識に基づき、中立・公正な立場でじっくり審議できる―いわく「良識の府」だ。 
 参院議員に立候補できる年齢は30歳以上で、衆院議員より5歳上。そんなことからも「大人」の議論の府というイメージがある。実際、戦後の1947年、第1回の参院選で生まれた「緑風会」は、いまでも語り草になっている。
  作家の山本有三ら文化人や知識人ら無所属の92人を集め、参院の最大勢力をなした。個人の良識を重んじるため政党色を排し、党議拘束を行わなかった。これも大人の対応だ。
  いくつかの法案で政府案を修正するなど、参院の独自性を発揮した緑風会だが政党化の波に洗われ、65年に消滅。いま参院は衆院審議を追認するだけの「カーボンコピー」とやゆされる。衆参両院の「ねじれ国会」になれば「決められない政治」の元凶とたたかれる。
  きのう投開票が行われた参院選は、2度目の合区となった徳島・高知選挙区で投票率が50%を大きく下回った。全国平均も低調。その数値は参院の存在意義を問うほど深刻である。
  「参院らしさ」を発揮するには、どうすべきか。これから6年間の任期を保証された議員は、政党の指示に従うだけのコマではない。個々の良識に基づき判断する―参院の「初心」忘るべからず。

 

3.参院は衆院のカーボンコピーではない-。こ… 岩手日報 19.7.22

 参院は衆院のカーボンコピーではない-。このキャッチフレーズを掲げ、政治活動を行ったのは故椎名素夫参院議員だ。与野党の権力闘争から常に距離を置き、晩年は時宜(じぎ)を得た批判で存在感を示した
▼その椎名氏が政党をつくったことがある。党名は「無所属の会」。既成政党に属したくない議員に救命ボートを差し出したい。そんな思いの同志と設立したのは20年前、1999年のことだ
▼与党が暴走すれば辛辣(しんらつ)な論評で堂々対峙(たいじ)する。かと思えば、日米外交の裏舞台ではひそかに米国要人が訪ねてくる。永田町きっての知米派とあって、その人脈の広さは外務官僚、与野党の国会議員から一目置かれる希有な政治家だった
▼「なにも既成政党にいなくとも、お国のために仕事ができるんだよ」。紫煙をくゆらせ、さりげなく語る姿を思い出す。無所属の会は4年余で解党したが、参院のカーボンコピー論に一石を投じたことは間違いない
▼参院は衆院の追認機関か。この指摘が絶えない。安倍政権以降、強まる1強政治に巻き込まれ、良識の府とされる抑止力は風前のともしびだ。参院不要論が出るのも致し方ない
▼さて、岩手選挙区は大接戦の末、横沢高徳氏が初当選した。激しい与野党対決だったが、良識の府の意義をいま一度肝に銘じ、車いすの目線から令和の政治の扉を開いてほしい。

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

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