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”フリーレンジ・エッグ”は”倫理的”の大嘘 イギリス作家・ジャーナリストが問う動物福祉

農業情報研究所 2017131日より 2月1日 つぶやきを追記しました。

イギリスの作家にしてジャーナリストのチャスニューキーバードン(Chas Newkey-Burden)がガーディアン紙上で、“フリーレンジ卵”は動物に優しいと消費者を欺く大嘘の最たるものと論じている。その大筋を紹介、“動物福祉”とは何なのかという根源的な問いに読者を誘おうと思う。私(紹介者)はこの問いに対する明快な解答を持ち合わせていない。なお、紹介者は日本のフリーレンジ・エッグ生産の実態は知りません。以下は日本のフリーレンジ・エッグとは直接関係のない話であることをお断りしておきます。

Free range is a con. There’s no such thing as an ethical egg,The Guardian,17.1.30

肉食者は菜食者が彼らを見下していると思っているが、実際には、彼らを養う食肉産業以上に肉食者を蔑む者は誰もいない。前線の労働者はイギリスだけでも日に2200万の動物をと殺、銃後のチームはと体に焼印を押し、包装し、独創的な言葉を使って消費者に真実を隠す。

あらゆる詐欺の中で、“フリーレンジ・エッグ”は恐らく最も大胆不敵なものだ。イギリスが一羽の鶏にも不自由させずに毎年100億もの卵を生産できると信じるためには、ディズニーレベルの想像力が必要だ。しかし、大半の消費者は、 “フリーレンジ”と書かれ、そして恐らくは数羽の鶏が動きまわる美しい草地のシーンを載せたラベルを一蹴しても、卵がどうやってこの箱に納められることになったのかは実感できない。

ベジタリアンにとっては、倫理的卵の概念そのものが自己撞着的だ。

鳥インフルエンザに直面した政府が、鶏は少なくとも2月末まで室内に留めなけれならないと命じた後、“フリーレンジ”エッグは“鶏舎エッグ”と名前を変えねばならなくなっただろう。だが、何と呼ばれようと、“フリーレンジ”が何を意味するのか、改められたバナーの下でどんな日常的ホラーが許されるのか、ほとんどの消費者は知ることがないだろう。

嘴のトリミングはイギリスのどこでも見られる。ほとんどすべての若い雌鶏は、自由を奪われ・傷を負った群れの中の他の鶏をつつかないように、麻酔なしで嘴の一部を焼き切られる。

フリーレンジの小舎には1平方メートル当たり9羽は詰め込まれる。これは人なら一室14人に相当する。多層の小舎(それでも“フリーレンジ”だ)では16000羽にもなる。それでも鶏たちは、理論的には外に行けるのだ。

野生の鶏は年に20の卵をうむだけだったが、蛋白質飼料を与えられ、ほとんど四六時中照明を当てられる現代の農場では年500の卵を産む。数ヵ月で卵を産めなくなり、と殺に送られる。寿命は自然の鶏の10分の1以下だ。経済的に無価値の雄鶏は生まれて数時間で殺される。

嘴を焼かれた鶏の卵を避ける一つの方法は、こうしたやり方を禁じる土壌協会認証有機農場の卵を買うことだ。しかし、これも他の福祉上の関心事項、少なくとも雄鶏の扱いには取り組んでいない。

 ・・・・・・

 ともあれ、倫理的卵は自己防衛的な肉食者に人気のある試金石になっている。そういう肉食者は菜食主義者に、「もし私が自由に動き回り、長生きを許される鶏を飼っていたら、君もそういう卵なら食べるか」と問う。

 菜食主義者の答えは全体論的、哲学的だ。我々は動物を商品とみなすことをやめねばならない。動物との世界戦争をやめ、調和のとれた生き方を学ぶべきである。従って、菜食主義者にとって、倫理的卵の概念自体が本質的に自己撞着的なのである。

菜食主義の私の一人の友人は亜麻の種とマッシュバナナのボールを使った“代替卵”を作っている。


 以下は紹介者のつぶやきです(2月1日追記)。


 草食動物が生産者(農家のことではなく、植物のことです)を食べ、草食動物を肉食動物を食べるのは自然の姿に見え、倫理に背くとは言えない。しかし、人間が家畜(草食動物)を食べるのは必ずしも自然には見えない。肉食自体が倫理(動物福祉)に反するのではなく、作物(飼料)生産の工業化が可能にする工業的家畜生産が現代の人間の肉食要求を満たしているのが問題なのだと考えざるを得ない。それはいずれ、自然(の循環)そのものの破壊に行き着く恐れがあるからだ(→牛が環境への最大の脅威 FAO報告 農業情報研究所 06.12.13FAO報告 工業畜産発展で家畜品種多様性が急速に]減少 食料供給の弾力性を脅かす 農業情報研究所 07.6.15)。「動物福祉」が持つ意味はそんなところにあるのかもしれない。



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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

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