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台風15号 農業被害

ビワ根こそぎ…悲痛 倒木激しく復旧難航 千葉 日本農業新聞 19.10.9

 台風15号から9日で1カ月。千葉県南房総市では特産、ビワが打撃を受けた。倒伏や枝折れに防風林の倒伏なども加わり、収穫が困難な地域も出ている。JA安房によると、121ヘクタールで作る管内のビワの被害額は約6億4000万円(9月30日現在)で、全国2位を誇る同県のビワ産出額(2017年)の8割に上る。おびただしい防風林の倒伏が園地確認や復旧作業を阻んでおり、農家は頭を抱えている。
 「もう駄目だ」。ビワを露地栽培する岡本健さん(47)は、台風後初めて立ち入った自らの園地の変わり果てた姿につぶやいた。防風林として植えていたマテバシイなどの樹木が倒れ、ビワの木に覆いかぶさっていた。根こそぎ倒れたビワの木もある。「これでは来年の収穫は壊滅的。ビワは、植えてから初収穫できるまでに10年ほどかかる。今後生活できるのか」
 園地へ続く幅約1メートルの私道が倒木と土砂で埋まり、被害程度がつかめない場所もある。私道なので行政の支援が及びにくく、撤去作業はさらに遅れる見込みだ。重機も入れず倒木の撤去は人力に頼るしかない。岡本さんは「収穫どころの話ではない。倒木や枝折れしてしまったビワの木の撤去作業もままならず、どこから手をつけていいか分からない」と話す。
 倒木でふさがった農道の復旧を農家が自力で試み、負傷する事故も起きた。同市南無谷地区でビワ農家が、業者を待たずに倒木の撤去作業をし骨折した。農家らは自力での復旧は諦め、専門の業者を頼むことにし、園地の確認はさらに遅れる見込みだ。
 房州枇杷(びわ)組合連合会で会長の小川貞夫さん(68)は、先行きを心配する。小川さんは「10月は摘房、12月には摘蕾(てきらい)作業があるが、このままだと年内は何も作業ができない恐れがある。他産地からの台木や苗木の融通も求めていきたい」と話す。
 農道をふさぐ倒木について市は「住居がある市道を優先して復旧を進め、私有地にある作業道は地元住民らとの合意を経た上で作業することも視野に入れたい」(農林水産課)とする。

<大停電災害 直面した命の危機> (1)家業吹き飛んだ一夜 東京新聞 19.10.9

 鉄骨がひしゃげ、引き裂かれたビニールハウスが被害の大きさを物語る。花の栽培で知られる千葉県南部の鋸南(きょなん)町。「たった一晩で世界が変わった」。台風15号の強風で無残に変わり果てたビニールハウスを前に、花農家の石井久晴さん(46)は肩を落とす。

 九月九日に首都圏を襲った台風15号の被害が特に甚大だった千葉県では、農林水産業の被害額が約四百十一億円に上った。中でもビニールハウスの被害額は二百億円と大きい。

 石井さん家族は父親の代から六十年、彼岸の仏花などで使われるテッポウユリを育ててきた。九日午前二時ごろ、自宅が停電し、明け方にはビニールが破れる音がした。早朝に見に行くと、ハウス十棟すべてが倒壊し、出荷間近のユリ約五万株がなぎ倒され、茎が折れていた。「何十年もやってきたことが吹っ飛んだ」。涙を流すしかなかった。

 ユリで一千万円ほどの収入を見込んでいたが、収入源は断たれた。逆に、十月中に支払い予定だった仕入れ済みの球根代などで一千万円の負債が残った。ハウスを再建する場合、さらに数千万円が必要になる。

 両親を含む六人家族。「もう無理だ。辞める」。ハウスから戻った石井さんが打ち明けると、家族は黙って決断を受け入れた。

 停電は十二日夜まで続き、夜はろうそく一本を囲んで今後のことを話し合った。断水もあり、トイレの水を流すために、雨のため泥で濁った川の水を何度もくんだ。停電は思わぬ被害を生んだ。冷蔵庫に保管していた出荷直前の二千株のユリも、停電の影響で温度が上がって花が開き、売り物にならなくなった。

 被災した農林水産業者に対し、県は緊急の災害対策資金として、無利子の貸付制度で再建を支援する。農林水産省も被害を受けたハウスの再建経費の補助を決めた。だが、石井さんは「融資を受けても返済に何年かかるのか見当もつかない。手伝ってくれていた両親も高齢で体力の限界。ばくだいな借金をしてまで続ける意味があるのか」と、廃業を決断した理由を話す。

 二人の息子のうち、中学三年の長男は高校受験を控える。月二万円の塾代や進学の費用を工面するため、石井さんは職探しを始めた。正社員の求人は二十~三十代ばかり。「四十すぎで農業以外は未経験。しかも無資格。どこも採用してくれないのでは」と焦りが募る。

 JA安房鋸南支店(鋸南町)によると、石井さんのほか数軒の花農家が廃業するか検討中だという。担当者は「国や県の支援はあるが、具体的な説明を受けていない。農家も片付けが忙しく、手続きの余裕などない」と話す。県の融資が始まるのは十月下旬以降。国や県は、被災地で順次、支援策の説明会を計画するが、再建への道のりは遠い。 (丸山将吾)

  

 千葉県などに大きな被害をもたらした台風15号の上陸から九日で一カ月。国や県などの初動の遅れ、大規模停電発生後の東京電力の復旧見通しの甘さに、命の危機に直面した被災者からは怒りの声が上がる。災害対応で何が足りなかったのかを検証する。

畜産業も大打撃

 千葉県内では停電の長期化が、全国有数の規模を誇る畜産業にも大打撃を与えた。県農林水産政策課によると、4日時点で卵を採る鶏やブロイラーは44万羽、乳用牛、豚など6907頭が被害を受けた。いずれも家畜の感染症対策のため空調の効いた施設で飼育されていることが多く、電気が止まって熱中症で死んだケースが目立った。他に、冷蔵施設に保管していた生乳や鶏卵など計1695トンが腐るなどして、出荷できなくなった。

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

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