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柏崎刈羽原発6、7号機「適合」へ 東電ばかりではない 規制委自身が安全文化を欠く?

  「原子力規制委員会は六日の定例会合で、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が耐震工事などをすれば原発の新規制基準に「適合」することを示す審査書案を、十三日に議論する方針を決めた」。

  「規制委は審査で、原発の安全対策だけでなく、福島事故を起こした東電に原発を動かす資格があるのかという点も取り上げた。このため、東電の川村隆会長、小早川智明社長を呼び、福島事故の対応や安全に対する姿勢をただしてきた。七月の面会では、田中委員長が「福島第一の廃炉を主体的に取り組めない事業者に再稼働の資格はない」と批判した。

 ところが規制委は六日の会合で、一転して東電の姿勢を評価。次期委員長の更田豊志(ふけたとよし)委員長代理は「(福島事故を)東電以外の事業者でも防げたとは考えにくい」・・・などと述べた。

 一方、伴信彦委員は「東電の決意表明は受け止めるが、それだけで適格性を判断していいのか」と述べたものの、事故後、東電の現場職員の安全意識は向上していると評価した」とのことである。

柏崎刈羽原発、13日「適合」へ「東電資格ない」一転 東京新聞 17.9.

 この発言をみるかぎり、原発の安全を与かる規制委の議論とはこんないい加減ものなのかとうすら寒くなる。

 例えば福島第一原発事故について、地震学者で原子力規制委員会前委員長代理、島崎邦彦東大名誉教授は、「どの程度の津波が来るかは予測できた。有効な対策は可能だった」と、震災前の国や東電の対応を批判している(「津波予測できた」 規制委の前委員長代理証言 千葉の原発訴訟 千葉日報 15.7.11)。国際原子力機関(IAEA)の 福島第一原発事故に関する最終報告書(2015年 The Fukushima Daiichi Accident IAEA 2015.8)も、東電規制当局(当時の原子力安全・保安院)の認識の甘さを痛烈に批判していたではないか(注)。それを無視するような(福島事故を)東電以外の事業者でも防げたとは考えにくい」の発言、規制委員(しかも次期委員長)としての資格が疑われるばかりか(解任せよの声があがってもおかしくない)、規制委の「独立性」そのものに疑念を抱かざるをえない(東電と元規制当局の擁護)

 (注)福島第一原発      の認可の過程を通じ、またその運転期間を通じて行われた安全性分析は、深刻な炉心損傷につながり得る複雑な一連のイヴェントの連鎖の可能性に、十全に取り組んだとはいえない。特に、安全性分析は、プラントの洪水に対する脆弱性と運転手続きおよび事故管理指針の弱点を認めるのに失敗した。蓋然的安全性アセスメントは、内部氾濫の可能性に取り組まなかったし、事故管理のためのヒトのパフォーマンスに関する仮定も楽観的であった。さらに、規制機関が事業者に課した要件は非常に限定的なもので、苛酷事故の可能性を熟考させるようなものではなかった。

 事業者は複数の炉の電源喪失や津波が引き起こす冷却の喪失に対する十分な備えもできていなかった。TEPCO(東電)は苛酷事故管理指針を開発していたが、それはこのありそうにないイヴェントのコンビネーションをカバーしていなかった。従って、事業者は適切な訓練を受けておらず、苛酷事故を想定した演習にも参加しておらず、彼らが利用できる設備も劣化したプラントの条件においては不適切なものであった(同報告書 6頁)

 東電の現場職員の安全意識」が向上しているという発言にもいかなる根拠があるのだろうか。「安全文化」(原子力安全文化に関する宣言=規制委)の定着の度合を、一定の基準に基づき、定量評価したのだろうか。そうとは見えない。単なる主観で(まあ大丈夫じゃないの、などと)言っているのだとすれば、規制委そのものの「適格性」が疑われることになる。そもそも規制委自身が安全文化を欠いているのでないか、と。 

先のIAEA報告によれば、核施設の安全性の有効な監視のためには、規制機関が独立しており、法的権限と技術的権能と強力な安全文化を持つことが不可欠である。規制機関は施設の生涯にわたる安全性に関する“独立”した決定をなさねばならない。独立した決定を確保するためには、権能がなくてはならず、十分な人的資源、適切な法的権威、財政資源を持たねばならない。規制機関は、その監視プログラムを新たな安全性情報に照らして適応させる必要がある。・・・。

これに照らし、規制委は今、東電のみならず、自らの「適格性」を問い直し、「安全文化」を取り戻し、その上で柏崎刈羽原発の適合審査そのものをやり直すべきであろう。今回の東電に対する態度の豹変で失った規制委への信頼は、そうでもしないと取り戻せないないだろう。

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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