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外食で米消費減少 業者が消費者の健康忖度? ご飯を食べると太るは今や神話なのに

   農業情報研究所17.9.9)より転載

 今日の日本農業新聞に聞き捨てにできない話が載っている。「今年度に入り、中・外食での1人当たりの米消費量が落ち込んでいることが、米穀機構の調べで分かった。前年を1割弱下回る。ダイエットなど健康改善を求める消費者ニーズに対応し、業界がご飯の量を減らしたメニュー提案を強めている背景がある」というのである。

外食で米消費減少 健康志向背景 需要取りこぼし懸念 機構調べ 日本農業新聞 17.9.9

 この記事には、米事情に疎い人がさっと読めば見逃してしまいそうな二つの問題が潜んでいる。第一は、中・外食での1人当たり米消費量の減少の落ち込みが、今年に入り突然起きたかのような言いまわしだ。第二は、中・外食での1人当たり米消費量の減少の原因を、外・中食業界が「ダイエットなど健康改善を求める消費者ニーズ」に対応するために1食当たりの米の提供量を減らしたことに求めている(日本フードサービス協会の見方))ことだ。

 第一の点について、記事は、「米穀機構によると今年4~7月の1カ月間の1人当たり米消費量平均は中食が841グラム、外食が559グラムで、それぞれ前年を8・0%、9・7%下回った。ともに4カ月連続で前年同月を下回った」と言う。これをもって「。「今年度に入り、中・外食での1人当たりの米消費量が落ち込んでいることが、米穀機構の調べで分かった」と言うわけだ。

しかし、下の図を見られたい。中・外食での1人当たり米消費量の落ち込みは今に始まったことではない。今年4月以降の対前年比が大きく落ち込んだのは確かだが、それは、前年同期の1人当たり消費量が近年になく(異常なほどに)多かった(その理由は知らないが)ために他ならない。その落ち込んだ今年4-6月の1ヵ月平均1人当たり消費量も1420グラム、20161年間の1ヵ月平均1人当たり消費量1430グラム、2015年の同1348グラムとほとんど変わらないか、むしろ増えてさえいる。

第二の点についても点検が必要だ。業界がご飯の量を減らしたのは、記事も指摘するように「業務用米の不足」や「業務用米の出回り量」の減少と取引価格の上昇といった商売上の理由からであろう。それを、消費者の健康意識の高まりに応えるためだなどと、まるで社会貢献が理由であるかのように言い換えた。農家も消費者の健康のために米減産(「業務用米」安定生産・供給の名での家庭内消費「良食味米」→総量削減)に協力せよとでも言わんばかりだ。米減産、食料安全保障の毀損が消費者の健康のためと正当化される。

どこか間違っている。そもそも健康のために米食を減らすというのが間違っているのではないか。ひところご婦人方と会食すると、ご飯減らしてくださいという人がよくいたものだ。ご飯を食べると太る。戦後、そういう“神話”がこの国に定着した。その神話をまともに信じてしまったのが彼女らだ。だが、いまでは、彼女らも、多くはダイエットにはご飯を減らすよりも、バターたっぷり練り込んだパンや肉を減らす方がずっといいと気づいている。健康のためにご飯を減らすなど、いまや外食・中食業界にしか通用しない時代遅れの発想かもしれない。

理想的な摂取エネルギー(カロリー)比率は蛋白質15(%)、脂肪25、炭水化物60と言われる(根拠はよく知らないが)。現在(2015年)の平均的日本人のエネルギー比率は蛋白質エネルギー14.7、脂肪エネルギー26.9、炭水化物59.4だ(厚労省:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_eiyou.html)。蛋白質がやや少なく、脂肪が多すぎ、炭水化物が足りない。健康のためなら、先ず何よりも米食を増やすべきだろう。国民のコメ離れ、米消費の傾向的・不可逆的減少が現今の米政策の前提をなしてきた。今や、この前提そのものを考え直すときかもしれない。 実際、ここ数年の家庭内米消費(1人当たり)は下げ止まり、増加傾向さえ見て取れる。ご婦人方、大いにご飯を食べましょう。ご飯もう一杯!(私が通っていた魚料理屋でときに耳にしました)

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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