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気候変動に関するニュースと論調 19年12月12日

温暖化対策 日本に厳しい目パリ協定目標「極めて不十分」 東京新聞 19.12.12 夕刊

 【マドリード=共同】海外の研究機関でつくる「クライメート・アクション・トラッカー」は、開催中の気候変動枠組み条約第二十五回締約国会議(COP25)の会場で、地球温暖化対策のパリ協定で三十余りの国や地域が掲げる目標や政策の評価を公表。日本については、国内外で石炭火力発電所を推進していることなどを理由に六段階評価で下から二番目の「極めて不十分」と判定した。

 パリ協定は産業革命前からの気温上昇を二度未満、できれば一・五度に抑えることを目指しているが、各国の目標の水準では今世紀末に約三度上昇すると予測。目標の引き上げを求めた。

 世界全体では、再生可能エネルギーが順調に普及しているものの、天然ガスの利用が拡大。二〇一七~一八年に化石燃料の燃焼で増加した二酸化炭素排出量の三分の二近くが天然ガスによるとして、歯止めをかけるよう警鐘を鳴らした。

 最高評価の「見本になる」に当たる国はなかった。それに次ぐ「一・五度に整合」がガンビアとモロッコ、「二度に整合」にインドやコスタリカなど六カ国が入った。

 天然ガスの利用が増えている欧州連合(EU)やオーストラリアなど十一カ国・地域は「不十分」と評価。それより低い評価の「極めて不十分」は日本や中国、韓国、ドイツなど十カ国だった。

 担当者は「日本は石炭や天然ガスへの依存から早急に脱却し、海外援助も中止するべきだ」とコメントした。

 パリ協定離脱を国連に正式通告した米国は、ロシアやサウジアラビアなど五カ国とともに最低の「決定的に不十分」とされた。

日本に2度目「化石賞」 小泉氏演説 脱石炭示さず 東京新聞 19.12.12 夕刊

 【マドリード=共同】世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」は11日、地球温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」に日本とブラジルを選んだと発表した。小泉進次郎環境相が同日のCOP25の演説で、脱石炭など意欲的な姿勢を示さなかったのが理由。2日に始まった会議で2回目の受賞となった。

 化石賞は環境団体が各国の発言内容をチェックして、ほぼ毎日発表している。1回目は梶山弘志経済産業相が国内での会見で、石炭火力発電の利用を続ける方針を示したのが理由。

 温暖化に歯止めがかからないとの危機感から世界では脱石炭の流れが決定的だが、日本は石炭火力発電を推進。発展途上国での建設に多額の公的融資を続けている。

 同団体は「最も優先される対策に取り組まない限り、どんな弁明をしても国際社会の批判はやまない」と非難した。

 COP25では、各国が温室効果ガスの排出削減目標の引き上げを表明するかどうかに関心が高まる中、小泉氏が目標引き上げにまったく言及しなかったことも受賞理由となった。

 小泉氏は演説で、日本の石炭政策に関し「世界的な批判は認識している。今以上の行動が必要だ」と述べたが、脱石炭にかじを切ることは表明しなかった。その後の会見などでは「途上国への輸出は何とかしたいと思ったが、新たな見解を出せなかった」とコメント。「(化石賞を)さらにもらう可能性があると思っていた。驚きはない」と述べた。

 ブラジルは、ボルソナロ大統領が、若者による対策強化を求める運動の先駆けとなったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)を「ピラリャ(ポルトガル語で『ガキ』の意)」と批判したことなどが理由。

[FT]化石燃料が次のサブプライムか、ゴア元副大統領 日本経済新聞 19.12.12 

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のニューズレター「モラル・マネー」1211日号では、アル・ゴア元米副大統領が、投資家による化石燃料関連株からのダイベストメント(投資撤退)の動きを支持する意向を示したことについて論じた。主な内容は以下の通り。

スペイン・マドリードで開催されている国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の会場に10日、米国人のスターが相次いで登場した。姿を現したのは、米大統領選に出馬表明したマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長、アル・ゴア元米副大統領、米俳優のハリソン・フォード氏などだ。現時点で、閉ざされた扉の内側で進む会合から目立った報告はなく、会議が生産的に進んでいるとはいいがたい。米国のセレブたちの登場は、こうした閉塞的な雰囲気を少し忘れて、一息つく話題を提供したと現地では好感された。

モラル・マネーは、ゴア氏にインタビューする機会を得た。話題は、気候変動に対して投資家が果たすべき役割についてだ。ゴア氏は、投資会社ジェネレーション・インベストメント・マネジメントの共同創業者でもある。「化石燃料関連株からのダイベストメント(投資撤退)の動きを強く支持する」(ゴア氏)。

ゴア氏は化石燃料事業に関連する資産の存在を、2008年に金融危機の発端となった「サブプライム(信用力の低い個人向けの住宅融資)ローン」になぞらえてみせた。「世界は今、化石燃料という名の巨大な"サブプライム・バブル"がはじける危機に直面している」。化石燃料関連の資産規模は、22兆ドル(約2400兆円)程度と見積もる。

気候変動を投資方針に組み込む動きは、小規模な投資ファンドで広がり、ゴア氏が率いるジェネレーション・インベストメントのように投資先企業の環境対策をより深く吟味する機関も登場している。そして今、こうした変化の流れは、大きな金融機関にも押し寄せようとしている。

例えば、資産運用企業600社が連名で気候変動対策を約束した取り組みに、米最大手のブラックロックとバンガードが参加しなかったことで、2社への反発は強まっている。この取り組みに参加した企業の運用額は合計で37兆ドルに上る。

ゴア氏にブラックロックとバンガードに対する意見を聞くと、変化の余地はあるとの答えがかえってきた。「規模の大きな(指数運用型の)パッシブ運用企業は、難しい決断を迫られている。文明を滅ぼす行為に投資し続けたいかどうかということだ」と説明。「アクティブ投資家とは異なり、投資戦略を変えるのが簡単ではないことは理解している。変わろうとしているが、今のところまだ成果は出ていない」と続けた。

ブラックロックとバンガードは、気候変動対策に積極的な「緑の金融企業」という称号を得ようと試みているようにみえるが、具体策では規模の小さな金融機関に後れをとっていることは否めない。ゴア氏は、「(2社どちらの経営陣も)大半は個人的に知っている。社会をよくする方向に貢献したいという発言にウソはないと思う」と一定の理解を示した。だが、対応に時間がかかりすぎると、「みんなの忍耐にも限界がある」と付け加えた。

By Leslie Hook

(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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EU、温暖化ガス50%削減に引き上げ 30年目標  日本経済新聞 19.12.11

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は11日、環境分野の総合対策の概要を発表した。2030年の温暖化ガスの排出削減目標を従来の90年比40%減から50%減に引き上げた上でさらに55%をめざす。50年に域内の排出を実質ゼロにする法案を203月までにまとめる方針を示した。持続可能なエネルギー構造への転換を資金支援する仕組みを設け、大幅な排出減に慎重な国を説得し、EUとしての統一目標にする構えだ。

12月に就任したフォンデアライエン欧州委員長は環境政策を最優先課題と位置づける。同氏は委員長として初となる1213日のEU首脳会議で、50年の排出実質ゼロの目標について各国首脳の同意を得たい考え。首脳会議に先立ち「欧州グリーンディール」と名付けた環境政策の全体像を示した。フォンデアライエン氏は11日、「これが我々の新しい成長戦略だ」と、新産業創出や雇用増につながると力説した。

EUはこれまで30年の排出削減目標を90年比で少なくとも40%としてきた。だが相次ぐ自然災害や若者を中心とした環境対策の強化を求めるデモを受けて一段の深掘りを検討していた。欧州委はひとまず50%に引き上げ、20年夏までに55%に上積みすることを検討する。厳しい目標がEU域外の企業との競争力に差が出ると懸念する産業界や、エネルギーを排出の多い石炭に頼る加盟国を説得する必要がある。

大幅な排出減に慎重な加盟国を支援するための仕組みをつくる。石炭などに依存する国が急速に再生可能エネルギーに移行すると、石炭産業に関わる人が失業する恐れがある。欧州委は「公正な移行」を進めるために、産業構造の転換や職業訓練などに使える支援の仕組みを整え、不満を和らげる。電力の8割を石炭に頼るポーランドのほか、チェコやハンガリーが念頭にある。具体案を201月に提示する。

公正な移行に加え、環境関連のインフラや産業振興などに向けて、欧州委は1000億ユーロ(約12兆円)規模の官民による資金メカニズムの設立をめざす。フォンデアライエン氏は「再生エネなどへのシフトで最も影響を受ける地域、産業を支援する」と説明した。

このほか、EUの排出量取引制度を海運業などに拡大したり、環境対策が十分でない国の製品に関税を上乗せする国境炭素税を一部の分野で実施したりする方針も明記した。EUの産業戦略や循環経済(サーキュラーエコノミー)行動計画をそれぞれ203月に、大気汚染ゼロ行動計画を21年にまとめる方針も示した。

スペイン・マドリードでは第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が開催中で、各国が既存の排出削減目標を引き上げるかが焦点の1つ。欧州委は自らが率先して目標を強化することで各国に対応を促すとともに、世界の気候変動交渉の主導権を握りたい考えだ。