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農地減少が急加速 効率に拘らない気軽な農業参入が耕作放棄を防ぐ

農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係20191215日より転載

日本農業新聞によると、「耕作放棄や農地の転用による農地面積の減少が農水省の想定を上回って進んでいる。2015~19年の5年間に発生した荒廃農地は7万7000ヘクタール、農地転用は7万5000ヘクタールに上った。それぞれ同省が想定した2・5倍、1・5倍のペースで増えた。農地の再生が一定程度進んだものの、新たな荒廃農地の発生や転用に追い付かない状況だ」、「同省は、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払制度を使って農地保全に取り組んだ地域は耕作放棄が抑制され、農地の再生も想定以上に進み、政策が効果を発揮したとみる。一方、「高齢化の進展や担い手不足などで新たな荒廃農地の発生が大きく見通しを上回った」(農村振興局)と認める」、「現行の対策だけでは、農地減少が十分に食い止められていないことが明らかになった格好。将来にわたり農地を確保するため、より踏み込んだ対応が求められそうだ」、とのことである。

農地減少 政府想定上回る 荒廃、転用2倍ペース 対策見直し必須 日本農業新聞 19.12.14

 では、「中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払制度」では足りない「より踏み込んだ対応」とはどういうことなのだろう。耕作をやめる「高齢者」や不足する「担い手」に代わる農業者(耕作者)を確保する以外にないことは確かだ。ただ、「我が国の農業が持続的に発展していくためには、生産性と収益性が高く、中長期的かつ継続的な発展性を有する、効率的かつ安定的な農業経営を育成・確保し、このような農業経営が農業生産の相当部分を担う構造としていくことが重要です。また、農業就業者が著しく高齢化しており、今後、高齢農業者のリタイアが急速に進むことが見込まれる中で、青年層の新規就農者を確保することが課題となっています」(農水省:担い手の育成・確保ななどと言われると、大抵の人は尻込みするだろう。「効率的かつ安定的な農業経営」を自認するには相当の勉強と経験を積まねばならないだろうからだ。

実は、農地減少が止まらないのはわが国農政が、専ら大規模で効率的な経営を追い求めてきたからではないかと思い当たる。もっと気軽な農業参入があっていいのではないか。

フランスでも「高齢化」は進んでいるが、利用農地面積は2010年:2893万㌶、2017年:2867万㌶とで、減少は日本よりはるかに少ない。恐らくは、「自家消費」や「物々交換」のために、あるいは贅沢な「生活スタイル」を求めて土地を耕す人が多いからだ。フランスで公式に登録されたfarm40%がそういうfarmに属する、イタリアでは、この比率は160万中100万という(Strauctural change in EU farming:How can the CAP support 21 century European model of agriculture,European Parliament March 2016小規模経営の方が持続的で農業成長に寄与 ヨーロッパ農業モデルに関する欧州議会の研究 農業情報研究所j 16.6.26)。

わが国でも、多くの都市生活者が棚田を支えている。「兵庫県内有数の農業地としての顔を持つ神戸市西区は、葉物野菜や果樹栽培に加え、貸農園も盛んだ。市観光園芸協会が管理する市内23園のうち、20園が同区にある。都心部からのアクセスの良さや、1口(16・5平方メートル)の農地使用料が年間7千円(別途入園料年間3千円必要)という安さが人気を集め、現在、区内外の936人が利用する」、「利用者が充実した農園生活を送れるようにと、手ぶらで「週末農業」ができる貸農園も出てきた。鷺野さんは自由に使える堆肥を用意し、サポートに当たる。「凝り始めるとみんな知識を付けてきて、もみ殻をまいたり、虫食い対策に混作したりと、それぞれの畑に個性があっておもしろい」と笑顔を見せるそうである(農業だけじゃない「貸農園」も盛ん 都心近く安価 神戸・西 神戸新聞 19.12.15)。

  「生産性と収益性が高く、中長期的かつ継続的な発展性を有する、効率的かつ安定的な農業経営」などと気張らなくてもよければ、よく見かける耕作放棄地をちょっと多耕してみようかという人は増えているのではないか。農地法上の規制を緩和、「1平方メートル以上」から農地を取得できるようにした京都市町村のような例も増えている(「農地」1平方メートル以上から持てます…移住いかが? 京都新聞 19.9.11)。

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

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