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原子力規制委 東電は「適格」 「安全第一決意」の法的担保で安全文化が根付く?

農業情報研究所17920日)より転載

原子力規制委員会が今日、東電が原発を運転することの「適格性」を認めた。

規制委は今日午前に開いた定例会合に東電の小早川智明社長を呼び、福島第一原発の廃炉をやり遂げ、柏崎刈羽原発を安全第一で運用する決意を、柏崎刈羽の運営方針などを定めた保安規定に盛り込むよう求めた。小早川氏がこれに応じたために、規制委は東電に原発を動かす資格があると認めた。

規制委には保安規定が順守されているか検査する権限がある。重大な違反があれば、運転停止や原発の設置許可取り消しなどの処分が可能になる。決意表明の内容を規定に盛り込ませることで、規制委は東電に決意内容を実行させられると判断した。同委は早ければ次回会合で、柏崎刈羽6、7号機が新規制基準に適合するとの判断を記した審査書案を了承するとのことである。

柏崎刈羽、27日にも適合 規制委「安全第一」明記受け 東京新聞 17.9.20 夕

柏崎刈羽、事実上の合格 再稼働時期見通せず 日本経済新聞 17.9.20

おかしなはなしだ。「福島第一原発の廃炉をやり遂げ、柏崎刈羽原発を安全第一で運用する決意」を「保安規定」に盛り込むことで何が変わるのだろうか。「重大な違反があれば、運転停止や原発の設置許可取り消しなどの処分が可能になる」と言うが、「重大な違反」とは何のことか。福島第一原発の廃炉は、うまく行っても予見不能な将来のこと、それをやり遂げたとか、やり遂げられると誰が何時判断するのだろうか。「安全第一の運用」がなされているか、できているか、何を基準に判断するのだろうか。 もう手に負えないと廃炉を投げ出した後とか(廃炉時期 一層不鮮明に 核燃料取り出し遅れ 苛酷な作業現場  東京新聞 17.9.20)、事故が起きた後に判断するのでは意味がない。

要するに、「決意」を「保安規定」に盛り込むことで、「日本国内には、原子力発電所の設計と実施されている安全対策は、・・・.十分に頑強であるという基本的な想定があった。日本の原子力発電所は安全であるとの基本的想定のために、組織とその人員が安全のレベルに疑問を提起しない傾向があった。・・・.利害関係者間で共有された基本的想定は、安全上の改善が迅速に導入されない状況をもたらした」(AEA福島第一原子力発電所事故報告書・2015)という福島第一原発事故以前の「非・安全文化」が刷新されるとは思えないのである。

事故を引き起こすほどの巨大津波を予測できなかったと未だに福島第一原発事故の責任を取ろうとしない東電や国の姿勢からすると、保安規定で「安全文化」が根付くとは信じ難い。例えば、「国と東電は巨大津波を予見でき、原発事故は防ぐことができた」(前橋地裁判決、原発事故、国・東電に過失前橋地裁 避難者への賠償命令 東京新聞 17.3.18 原発避難者訴訟 判決要旨 東京新聞 17.3.18 )ことを認めようとしない東電を、どうして「適格」と認められようか。

逆に国、規制委自身の「安全文化」が疑われかねない。東電は柏崎刈羽原発敷地内の断層が「活断層の可能性がある」という地質学者(「柏崎刈羽原発活断層問題研究会」)の指摘(柏崎刈羽原発 地内に活断層か 13万年前以降に活動 毎日新聞 17.4.18柏崎刈羽原発に「活断層の可能性」 研究者ら指摘 朝日新聞 2017.4.18)を黙殺している。規制委はこういう指摘にも真摯に向き合い、「一点の曇り」もなく(「規制の形、見えてきた」=田中委員長が退任会見-規制委 時事 17.9.20)否定できるのだろうか。規制委の安全文化が問われている。

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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