FC2ブログ

記事一覧

理解不能な田中前原子力規制委員長発言 安全確保の責任は誰が負う?

原子力規制委員会の田中俊一前委員長が退任を前に「原子力に賛成か反対かだけでなく、政策のあり方を国会で深く議論して欲しい」と国に異例の注文をつけたことは既に紹介した(規制委員長 国・国会も原発再稼働の責任を!パブコメに現れる国民の声を聴くのが先決では?)。この発言の背景について、24日付の河北新報記事は次のように説明する。

政府はこれまで「規制委によって安全性が確認された原発は再稼働を進める」と繰り返した。一方で田中氏は「審査に合格した原発でも事故リスクはゼロではない」と主張。電力会社側の自主的、継続的な安全向上策が不可欠と訴え、再稼働については政府や関係自治体、地域住民を含めた検討を促してきた」(<規制委>委員長退任の田中俊一氏「国会は原子力政策議論深化を」 河北新報 17.9.24)。

素直に読めば理解に苦しむ文章である。国民の多くは、原子力規制員会は原発等原子力施設の安全確保に責任を持つ国家機関と思っている。なのに、前委員長は、「審査に合格した原発でも事故リスクはゼロではない」と、「規制委によって安全性が確認された原発は再稼働を進める」政府に文句をつける。河北新報の記事自体が不可解なのではない。前委員長のこういう矛盾した発言が不可解なのである。

それだけではよく分らないというなら、914日の原子力問題調査特別委員会における彼の類似発言を生で紹介しよう。

「これまで、平成二十七年九月の川内原発一号機の再稼働を皮切りに、十二基の原子力発電所の審査が終わり、五基の原発が稼働するに至っていますが、原子力発電所の許可をすると、例外なしに、規制委員会が稼働の是非を判断しているとして、さまざまな意見が寄せられます。これは全くの誤解で、私たちの使命は、二度と住民が避難しなければならないような原子力事故は起こさせないという厳格な安全規制を行うことであり、原子力発電所の稼働を判断する役割や権限は与えられていません。
 私は、こうした誤解が生じる背景には、原子力政策についての議論の不足があると感じています。
安全確保は私たちが担わなければなりませんが、原子力の適正な利用を進めるためには、東京電力福島第一原発事故の反省に立ち、国内外の諸情勢、技術の進歩等を踏まえて、原子力政策がどうあるべきか、国会の場でぜひとも十分な議論を重ねていただく必要があると感じています」(委員会議事録)。

理解できますか?規制委が「二度と住民が避難しなければならないような原子力事故は起こさせないという厳格な安全規制を行う」使命を果たし、「安全確保は私たちが担わなければなりません」と言うなら、どうして「審査に合格した原発でも事故リスクはゼロではない」(「住民が避難しなければならないような原子力事故」は起き得るということ?)というのでしょうか。規制委はそういう使命を帯び、安全確保に責任を負わねばならないけれども、実際にはそんな使命は果たせないし、そんな責任は負いかねるというのでしょうか。そう考えないと、この発言は理解不能です。

しかし、そうすると安全確保の責任は誰が負うのかという重大な問題が浮かび上がります。規制委が責任を負えないのに、政府や関係自治体、地域住民、まして原発企業が責任を負えるはずもありません。つまり、日本の原発はそういう無責任体制の下で動いているということです(それを奨励さえしている裁判官もいる→津波対策、国の責任否定「原発事故を回避できなかった可能性」 東京新聞 17.9.23)。安全確保は、権限を持つ政府や関係自治体が再稼動を阻止するかどうかにかかっていることになります(稼動していない原発でも事故リスクはゼロではありませんが)。あるいは前委員長、国や自治体、地域住民は、全力をあげて再稼動を阻止して欲しいとでも言うのでしょうか。それもありそうにないことです(浜岡建設受け入れ50年 原発マネー依存 今も(静岡) 中日新聞 17.9.25;脱原発訴え届かず 玄海町議選で新人・平山氏 佐賀新聞 17.9.25;きょう午後、再稼働同意=大飯3、4号機-福井県おおい町長 時事 17.9.25)。

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。かつての行動派も病魔のために身体不如意、情報提供と批評に徹します。

フリーエリア

フリーエリア

PVアクセスランキング にほんブログ村

カテゴリ