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農林水産物輸出 1兆円目標はなお諦めないと言うが どう頑張っても所得倍増とは関係ない話

農業情報研究所 20170211日より

 マスコミが2016年の農林水産物・食品の輸出額が前年と比べて僅かながら増加、7503億円となり、4年連続で過去最高を更新したと報じている。海外の日本食ブームで米や牛肉など農産物の輸出が増えたためという。しかし、前年に比べての増加率は0.7%とごく僅かで、この調子では2年後に1兆円という政府目標には到底届きそうにない(平成28年の農林水産物・食品の輸出実績(速報値)の公表(平成29年210日掲載) 農林水産省)。

 山本有二農相も10日の閣議後会見でこれを認めたが、「具体的な品目を見ますと、お米が21%の増でありますし、牛肉は23%、ブドウに至っては50.4%伸びているわけでございまして、さらに日本食というものがオリンピック関係者の往来やさらに日本の再発見、あるいはインバウンドが2000万人を超えて、2千数百万人に達して、かつ、また、ゴールデンルート以外にも入ってこられているという、日本に対する理解が進めば進むほど日本食が海外でもニーズが高くなってくるというようなことでもございますので、決して諦めずに1兆円を目指したいというように思っております」とのことである(山本農林水産大臣記者会見概要 農林水産省 2017210)。

 そんなの無理だ、おやめなさいとは言わない。私が言いたいのは、例え目標が達成されたとしても、それがどうした、「農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増させることを目指す」という政府の大目標とは何の関係もないということだ。

 和食ブームで米や牛肉(これも和食?)の輸出が増えた、これからも増やすという。確かに牛肉の輸出量は2012年の860トンから2016年には1900トンと倍以上に増えた。しかし、2016年の国内牛枝肉生産量は約50万トン、それに輸入分の50万トン超を加えると国内総供給量は100万トンを超える。100万トン中の1900トン、それが価格と所得をどれだけ押し上げるというのか。

 米の輸出量も2200トンから1万トンに増えた。しかし、主食用米の生産量は750万トン、輸入米を加えて総供給量は800万トンほどと考えると、1万トンの輸出が米価と米農家の所得をどれだけ押し上げるというのだろうか。山本農相はSBS輸入米の価格下落の国産米米価への影響を否定するが、輸出の影響はもっと微々たるものだろう。

 何のための輸出促進なのか。農相も、首相も、農水省の役人も答えられないに違いない。

 下に米と牛肉の輸入量・輸出量の推移を示す。何が「攻めの農業」だ。所得倍増は、輸出促進ではなく、何よりも輸入減らしが早道だ。米の輸出を2200トンから1万トンに増やす代わりに、輸入を63万トンから62万トン(実際には68.6万トンに増えている)に減らす、その方が余程簡単だ。TPP、日米FTAなどとんでもない。

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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