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有機ブームの最中のドイツ有機農民 ”通常”バナナは”農薬バナナ”と表示、有機バナナはただの”バナナ”の時代の到来を

農業情報研究所 17221日より

 欧米諸国において空前のオーガニック・ブームが巻き起こっている。

 米国では、2015年の非有機食品販売額は前年に比べて3%増えたが、有機製品販売額は11%も増え、その販売額は史上最高の433億ドル(約5兆円)に達した(Largest dollar gain ever for the booming organic sector even with supply challenges, says OTA survey,OTA,2016.5.19)。

 英国でも2016年、非有機食品市場の前年比0.9%の縮小に対して有機製品市場は4.9%拡大、その市場販売額はやはり史上最高の19.5億ポンド(約2750億円)に達した(Organic Market Report 2016,Soil Assosiation,2017.2)。

   ドイツの有機食品販売額も着実に増えており、過去2年は年10%の成長を記録した(Growing the organic food market,Deutsche Welle,17.2.16)。

 人々の保健や環境の観点などからして、とても喜ばしいことではある。ところが、最後に上げたドイツ紙は、それにもかかわらず、食品市場における有機食品市場のシェアはごく僅か(5%ほど)、ニッチな市場(隙間市場)の範疇から抜け出すための25%にはとても届きそうにないと言う。そう言えば、これは米国でも5%ほど、英国ではたったの1.4%に過ぎない。

 何故か。ドイツ紙は、合成殺虫剤、除草剤、化学肥料を使って生産される”通常”製品の方がずっと安く、有機製品は”プリンス”の食べ物であり、貧しい者は食べないからだと言う。

 ドイツ有機食品加工業者協会を率いる有機農民・Beck氏は、非有機は有機よりも15%から100%高い。有機食品を買うかどうかはライフスタイルや文化・教育的バックグランドにもかかわるが、やはり値段が大きいと言う。

 そこで、有機食品市場がニッチな市場から抜け出すためにどんな方策が考えられるのか。全国グリーンビジネス協会のReuter紙は、通常食品は環境・保健コストを勘定に入れていないから”不条理に”安いのだ、真のコストを含めると通常食品の方が高くつく、汚染のコストを価格に含めるべきだと言う。

 彼によれば、ドイツの養豚産業は国が消費するよりも30%も多くの豚肉を生産しており、健康の観点からすると豚肉の食べ過ぎを招いている。フィードロットに集中した大量の豚が水を汚染している。トン当たり、ヘクタール当たりの価格追加でこれを避けるインセンティブを与えることができると言う。ただし、動物福祉を確保するめの財政的インセンティブは働かないだろう、これは直接規制が必要と言う。

 彼らは面積に応じて農家に支払われるEUの通常農業補助制度も問題にする。EUの巨額の農業補助金は改善された農法を採用する農家に向けて再配分されねばならないと言う。

 有機農業補助のための資金は、すべての通常食品の小売価格に僅かばかりの”環境使用料”を上乗せすることから調達することもできる。これで通常農業から有機農業への転換を助ける有機農業基金を立ち上げる。

 こうした財政的インセンティブや直接規制は今までずっと要請してきたことだが、大多数の農民の反対で実現していない。Reuter氏いわく、表示システムの改変が助けになるかもしれない。有機食品が”ノーマル”な”非表示”食品となり、農薬や肥料を使って、あるいは非人間的やり方で生産される食品が表示食品となる、通常バナナは”農薬バナナ”と表示、有機バナナはただ”バナナ”と表示する、そんな将来が見てみたいと言う。

  日本からもひとつ提案。”農業競争力引き下げ支援法”で化学農薬・肥料の値段を、”通常”農民がやってられないと音を上げるほどに引き上げる、というのはどうでしょう。


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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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