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伊方原発差し止め決定(広島高裁)を逆手に取った新手の原発擁護論

専ら阿蘇山のカルデラ噴火のような破局的な噴火の危険性を重視して伊方原発3号機の一時的運転差し止めを命じた昨年12月の広島高裁の決定(阿蘇噴火の危険重視 3号機運転差し止め 伊方原発 大分合同 17.12.14)を逆手に取る新手の原発擁護論を日本経済新聞編集委員・滝順一が今日の同紙上で披歴している。

伊方原発差し止め 自ら作ったルールに縛られる規制委 日本経済新聞 18.1.7

広島高裁の決定は、安全審査の内規として原子力規制委が作成した火山影響評価ガイドライン(原発から半径160キロメートルの範囲内の活火山(1万年以内に活動した火山)について、(1)稼働期間中(40年間)に噴火活動の可能性があるか(2)可能性がある場合は噴火規模を推定し(3)対応不可能な事象(火砕流)が原発に到達する可能性が十分に小さいかどうかを評価する)を厳密に運用すれば、 破局的な噴火は発生頻度が著しく小さいうえ、国も防災計画をもたず、国民の間に目立った不安もないので、そのようなリスクは社会的に容認しうるというのが「社会的通念」だとして運転差し止め請求を退けた以前の広島地裁等の決定は「許されない」と結論づけた。

 しかし、氏によれば、このガイドラインそのものに不備がある。多くの火山学者が言うように、稼働中にカルデラ噴火の影響をこうむる可能性が高いか低いかを判定することは現在の火山学では「不可能」「過大な期待」である。それに、広島高裁の決定に対しては「破局的噴火は日本という国の存亡にかかわる危機、ことは原発だけではない。原発だけ取り出してリスクを議論するのはバランスを欠く」という反論があり、「原発にはリスクだけではなくベネフィット(便益)もある。安全対策によってリスクはどこまで下げられるのか。さらにベネフィットなどを勘案して社会的に受け入れ可能なリスクの水準はどのあたりか」を議論せねばならない。

 「破局的な噴火」のリスクの問題をいつの間にかリスク一般の問題にすり替えている。「日本という国の存亡にかかわる」リスクと比較考量すべきベネフィットなどあるものか。そのうえ、原発には処理方法の定まらぬ廃棄物をはき出し続けるという別の無量にリスクもある。これはリスク・ベネフィット論など通用しない領域、原発などそもそもあってはならなかったものなのである。

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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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