記事一覧

福島復興の課題 施設整備や放射線教育と復興相 抜け落ちた基本的課題=除染・生業基盤復旧

農業情報研究所20173月2日 より

   「東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から丸6年を迎えるのを前に、今村雅弘復興相は2月28日、福島民報社などのインタビューに応じた。原発事故の風評対策や避難した子どものいじめ防止に向け、放射線の正しい知識を伝えるキャンペーンを官民挙げて展開する考えを示した」とのことである。

 復興に向けた今後の具体的課題としては、「福島第一原発の廃炉や放射性物質に汚染された除染土壌の扱い」、避難指示が解除された地域における帰還促進のための医療や教育、商業施設などの生活環境の整備、避難したこどもへのいじめ対策や農産物の風評対策としての放射線に関するリスクコミュニケーションの強化を揚げた。

 正しい放射線教育重視 官民挙げて啓発へ 今村雅弘復興相 福島民報 17.3.1

 第一原発廃炉や除染土壌の処分は当たり前のはなしだ。それは復興の大前提だ。しかし、次いで医療・教育・商業施設整備やリスクコミュニケーションが出てくるのは、「いかがのものか」(政治家どの常套句)と思う。それよりも前になすべきことがあるからだ。

 何よりも「除染」だ。復興庁も避難指示解除の目安となる年間被ばく量20㍉シーベルト未満を目指して除染を進めてきた。この基準が満たされたと次々避難指示を解除しつつある。しかし、人々はこんな基準は信じない。多くの人は戻らない。それ以上の除染を求めている。

 それだけではない。除染が完了に近いとされるのは「生活圏」だけ(<福島除染>帰還困難区域除き年度内ほぼ完了 河北新報 17.2.24)、多くの住民が生活の糧を得てきた「森林」除染は手つかず、「里山再生」も始まったばかりで先は見えない(例えば福島第1原発事故 里山再生事業始まる 除染効果は不透明 川俣・山木屋 /福島 毎日新聞 16.12,10)。

 農地さえも、なお高濃度に汚染されたままだ。避難区域ではない。福島県北市町村の農地土壌セシウム汚染状況を下図にしめす(データ出所:農水省 農地土壌中の放射性セシウムの分析値)。

 事故直後に比べればセシウム濃度は大きく減衰しているが、なお1000ベクレル以上の田畑が大半を占める。最低でも年間2㍉シーベルト、最大で12.5㍉シーベルトの被ばくは覚悟せねばならない(農業情報研究所 福島県の放射性セシウム濃度別農地分布 2012330)。人々が安心して農業に取り組めるレベルではない。ついでに、これら農地につながる溜池の低質セシウム濃度も数万ベクレルを超える場所がある(平成27年度 福島圏ため池と調査結果:県北地区県中地区)。

 これは、原発事故で壊された「生業」の基盤がなお復旧していないということである。改めて、復興戦略の中軸に風評払拭を据えることの否を唱えたい(農畜産物風評被害はどれほど深刻なのか 福島県資料から何を読み取る? 復興戦略の見直しが必要,17.2.25復興相 福島農業再興へ「風評払拭」に全力 再興を阻む元凶は「風評」ではない―再論,17.2.18福島の農林水産業 「風評」という言葉が再生を阻む 国もマスコミも、なぜ本当の問題を考えないのか,16.12.23)。








スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

寿

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

フリーエリア

フリーエリア

フリーエリア