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会津産コシヒカリの需要が急増 最初から安全だったのに風評払拭とは 

農業情報研究所2018121日)より転載

 今日の河北新報紙が、「家庭向けコメ販売で「会津ブーム」が起きている」、「東京電力福島第1原発事故による根拠のない風評が風化する潮目になるのか」と問うている。「福島県で風評被害などを調査した東京農大の門間敏幸名誉教授(農業経営)は・・・、卸小売業者が買いたたく交渉カードとして「風評」が機能しなくなってきた」と言っているそうである。

 <福島米が足りない>(上)家庭用 「安いうまい」会津復権 買いたたき 変化の兆し 河北新報 18.1.21

 原発事故前、会津コシヒカリはその高い食味評価から魚沼産コシヒカリ、新潟県産コシヒカリ(一般、岩船、佐渡)に次ぐ高値で取引されてきた。しかし、原発事故後、その相対取引価格は茨城・栃木・千葉産コシヒカリ以下のレベルにまで低下した。

2010年と12年の各県産コシヒカリ米相対取引価格(円/60㎏)

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/image/コメ相対取引:会津との比較.jpg

 これが福島県産米は危ないという「風評」を口実に「卸小売業者が買いたたいた」結果であるであるかどうかは知らない。しかし、もしそうだとすれば、責められるべきは卸小売業者の無知であると同時に、それを許し・戒めることをしてこなかった行政やマスコミらの怠慢であろう。

 実のところ、會津の米に対する原発事故の影響が他県の米と同様に安全を問われるほどのものでないことは事故直後から分っていた。2011年産米が含む放射性物質の調査でセシウム134、セシウム137のどちらか、または両方が検出された例は、会津産米について言えば254の調査をして1例のみであった。しかも、その濃度は32ベクレル/㎏、これを超える汚染例は、千葉・栃木・群馬で各2例、茨城で3例、宮城でも4例見つかっている(玄米から放射性セシウムが検出された例の一覧 農業情報研究所 20111126日)。これら他県の米が安全というなら、会津の米も安全を宣言すべきだった。マスコミもそう喧伝すべきだった。そうすれば、そもそも業者が会津産米を買いたたく口実など生まれなかっただろう。

 何故そうしなかったのか。理解不能だ(会津の米だけ助けるのは不公平?)。マスコミも「今は「風評が風化する潮目になるのか」などと「問う」前に、うかつにも会津米は最初から安全だったことを報じ損じましたと自らの報道姿勢を反省すべきでしょう。風評被害」払拭を目下の最大の課題に据える政府は、「空間放射線量が全国や海外の主要都市とほぼ同水準である」などと大法螺を吹く前に、こういうきめ細かな情報の発信に努めるべきだろう(福島の空間放射線量 全国・海外主要都市と同水準 人を欺く政府風評払拭「戦略」 農業情報研究所17.12.13)。

 注)ちなみに、農地の放射性セシウム濃度(ベクレル/1㎏)をみても、会津地方では1000ベクレルを超える地点はほとんどなく(358地点中2地点、南会津地方(桧枝岐村、只見町、南会津町)では200ベクレルを超える地点は1地点もなかった。これは、會津の農地汚染は、例えば栃木県那須地方や日光地方よりも、むしろ軽度であったことを示している福島県の放射性セシウム濃度別農地分布 農業情報研究所 2012330日)



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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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