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裁判官にわかるか 心の痛み 福島第一原発事故「ふるさと喪失慰謝料訴訟」

 東京地裁が7日、東京電力福島第一原発事故で避難指示区域となった福島県南相馬市小高区(旧小高町、私には馴染みの土地だ。加計呂麻島の特攻基地を訪ねたとき、島尾敏雄の父母の生地で、関東大震災時の幼少時、彼がここで過ごしたことを知った)の住民ら321人が1人当たり1000万円の「ふるさと喪失慰謝料」の支払いと、月10万円の「避難生活の慰謝料」を月28万円に増額するよう求めた訴訟の判決を下した。

判決は、原発事故に伴う避難生活について「過去に類を見ない極めて甚大な被害」などと指摘、原告318人について1人当たり330万円の賠償を認定した(3人は事故後に生まれたなどとして請求を棄却)。「ふるさとを喪失した」という原告の主張にも一定の理解を示し、「包括生活基盤に関する利益の侵害」に対する慰謝料に一括、賠償対象に含めた。とはいえ、原告はふるさと喪失への慰謝料1000万円を 含む1人当たり原則約3200万円を求めていたのだから、認められた賠償額は請求の1割に過ぎない。

東電に11億円の賠償命令 東京地裁 毎日新聞 18.2.7

東電に11億円賠償命令原発事故「故郷に生きる利益侵害」 東京新聞 18.2.8

原告の一人・江井績さんが「ふるさとを奪われ、家族のだんらんを奪われた。歴史と伝統で築いたふるさとは戻ってこない。これが本当に血の通った判決なのか」と唇をかみしめ、代理人の弁護士が「大部分が敗訴だ、判決は言葉の上でふるさと喪失を認めつつ、慰謝料は控えめな数字。(ふるさとを奪われた)実態が分っていない」と言うのも当然だ(訴訟の過程で原告側が裁判官に求めた現地視察は実現しなかった)。

「ふるさと喪失」分っていない」 東京新聞 18.2.8 朝刊 29

この記事を見るうち、「いじわるばあさん」を思い出した。医者がいじわるばあさんの胸に聴診器を当てると、「ヤブにわかるか」と聞こえた、というあの話である。

「裁判官にわかるか」。そもそも、「ふるさと喪失」の痛みは心の痛み、お金で癒せるものではないだろう。血の通った裁判官なら、安全神話にあぐらをかいていた東電幹部と政府の口先だけの「反省」だけでなく、腹を切っての謝罪(全原発の再稼働と新設の停止)を求めるに違いない。慰安婦問題と同然だ。

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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原発は核廃棄物の安全な処分方法の確立を待たずに見切り発車すれば破滅的災厄をもたらす(フレッド・ホイル)。事故だけではない、原発そのものが問題です。

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