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自民党 米輸出産地形成を促す新たな支援策 多収品種で60キロ7000円

農業情報研究所18525日より転載

日本農業新聞が伝えるところによると、自民党が、米を海外に輸出する産地形成を促す新たな支援策を検討している。値段が高いという日本産米の海外普及の壁を突破するために、多収品種や新技術を駆使して生産費の大幅な低減に取り組む産地を支援するのだそうである。

農水省は昨年9月、斎藤健農相の肝いりで「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」を立ち上げた。「戦略的輸出基地」として同プロジェクトに参加する産地は現在、全国で253あるが、価格で海外の米に太刀打ちできていない。そこで、この中からいくつかの産地を選び、3年間の実証事業を行う。新たな技術を活用して海外で戦える60キロ7000円前後の価格帯の米作りを支援するのだという。

60キロ7000円前後という価格帯は自民党農産物輸出促進対策委員会(小泉進次郎委員長)の聞き取りで得たものという。

米輸出増へ支援拡充 低コスト産地を育成 自民 日本農業新聞 18.5.25

ところで、輸出拡大をめざす日本産米とはどんな米なのか。世界で支配的なインディカ米(長粒種)ではなく、ジャポニカ米であることは確かであろう。「多収品種」のジャポニカ米ということになる。しかし、具体的にどこの国で生産されるどんなジャポニカ米がターゲットなのか。

「海外市場で日本産米が競争力を持つ価格水準は60キロ7000円前後」という話から、ターゲットはどうやらカリフォルニア中粒種らしいと見当がつく。九州大学大学院農学研究院 教授・伊東正一氏が、カリフォルニア産中粒種の156月の相場が10㎏当たり11.43ドル(1,372円:1ドル120円の為替レート)だった、これを60㎏当たりに直すと7000円ほどになるという研究を披歴しているからだ。

「日本産米は味の評価が高いので、FOB価格はこのカリフォルニア産米の価格より高くても競争力に問題はありませんが、この価格レベルが日本産米の目指す生産コストの指標となる」と言っている(「世界のジャポニカ米市場と日本産米の競争力」)。「委員会」はこれを踏襲したに違いない。

ところで、今年4月のカリフォルニア産中粒種の輸出価格(FOB)はトン当たり900ドル、円換算(1ドル1075円)すると97200円、60㎏当たり5800円だ(参照:FAO RICE PRICE UPDATE-Export prices for rice農業情報研究所:国際米価:タイ輸出価格の推移と国際比較)。60キロ7000円という目標は必ずしもは当てにならない(おそらくもっと下げる必要がある)。「味の評価」がカリフォルニア米を上回る「多収品種」があるかどうかも不確かだ。戦略的輸出基地も、どう取り組むべきか戸惑うだろう。戦略の成否は見通せない。農業・農村所得倍増計画の二の舞にならないように祈るのみである。

関連情報

【農協研究会・第1報告 米価下がれば需要増える】熊野孝文・(株)米穀新聞社記者 農業協同組合新聞 18.5.25






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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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