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米輸出拡大?寝ぼけている間に豪産ジャポニカ米が日本市場を席捲

 農業情報研究所2018530日より転載

先日、自民党が海外に輸出するジャポニカ米産地の形成を促す支援策を検討しており、多収品種や新技術を駆使してカリフォルニア中粒種と競争できる価格帯―60キロ7000円ほど―の米作りが目標となると書いた(自民党 米輸出産地形成を促す新たな支援策 多収品種で60キロ7000  農業情報研究所 18.5.25)。

しかし、これは大きく訂正する必要がありそうだ。日本農業新聞の報告によると、 オーストラリア稲作地帯では既に日本向け輸出のための短粒種ジャポニカ米への切り替えが進んでいる。

  「1筆30~50ヘクタールの巨大な水田が延々と広がるオーストラリア南部のリベリナ地域。同国の主力稲作地帯・・・のケイロックさんは日本向けの短粒種米に特化して生産する。シーズンを通し、家族と従業員を含めた5人で、日本の平均作付面積の100倍以上に及ぶ水田を管理する。
 作業は機械化や先端技術を駆使して、省力化を追求。400馬力のトラクターに10条以上の播種(はしゅ)機を取り付けて乾田直播(ちょくは)をして、追肥にはセスナ機を使う。圃場(ほじょう)の水位はスマートフォンで管理し、収穫は衛星利用測位システム(GPS)を搭載したコンバインをフル稼働させる。
 こうした作業体系を確立し、低コスト生産を実現した。労働費や物材費などを含めた生産費は10アール当たり200~250豪ドル(1万7000~2万円)と、日本の平均の6分の1に抑える」([狙う日本市場 豪州の戦略 1] 米(上) 低コスト・安定生産 コシ系短粒種 急拡大 日本農業新聞 18.5.29)。

  日本のジャポニカ米(短粒種)は、こんなオーストラリア米と海外市場で競争しなければならないわけだ。海外市場だけではない。オーストラリア産短粒種は既に本丸(日本)に攻め込んでいる。

「日本への輸出で注力するのが、「コシヒカリ」「じょうでき」という日本の短粒種同士を掛け合わせた多収性の新品種「うららか」だ。日本人好みの粘りや香りといった食味を追求して10年以上かけて同社が開発。2017年産から日本での販売を開始。同国産米の17年産の日本輸出は3万トンと16年産に比べ4倍に拡大した。その攻勢に、「うららか」の存在も大きかった。
 日本の産地関係者は「日本産米に比べ食味は見劣りする。だが、以前ほどの差はなくなった」(東日本のJA)と警戒する。安さを強みに、既に大手スーパーの店頭に並ぶ。「国内で低価格帯の米が不足する中、消費者が求める味や価格を満たす米として選んだ」(大手スーパー)。店頭には1キロ295円(税別)と、一般的な国産ブレンド米より1割安く並ぶ。3月からの販売で順調に売れている」([狙う日本市場 豪州の戦略 2] 米(下) 低価格・品質向上 専用「うららか」攻勢 日本農業新聞 18.5.30

   「農水省は昨年9月、斎藤健農相の肝いりで「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」を立ち上げ、産地と輸出業者の橋渡しに力を入れている。17年の米輸出(援助米を除く)実績の1万1841トンから一層の拡大を目指す」(日本農業新聞 前掲 5.25)というが、「輸入米を扱うSBSの17年度取引はオーストラリア産米が前年度比の4倍強の3万トンとなり、日本での需要が急増している。TPP11ではSBSによる国家貿易の仕組みを維持した上で、オーストラリア向けに最大8400トンの特別輸入枠を設けた」。

   専守防衛はだめ、輸出拡大、「攻めの農業」だなどどと寝ぼけている日本、27000トンほどの国産米市場をオーストラリア産米に譲り渡そうとしているわけだ。「攻めの農業」による農業の成長産業化は安倍政権が妄想する空中楼閣にすぎないことの証左である。
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プロフィール

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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