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米朝首脳会談とジャーナリスト 北の非核化最優先で起こり得る結果に責任を持てるのか

昨日、米朝首脳会談において米国があくまでも北朝鮮の「完全で検証可能かつ不可逆的な方法での非核化」に拘るならば、朝鮮半島に「平和を創出する」機会は永遠に失われ、その累は日本にも及ぶだろうと書いた(米朝首脳会談 外交努力の継続が重要 日本は「どのように交渉し平和を創出するのか」)。トランプ米大統領が「最大限の圧力」の文言を使わない意向を示し、北朝鮮の「段階的非核化」を容認する姿勢に転じたのは、まさにそのためだ。

 ところが、日本のマスコミ(63日付の社説)は、トランプのこの変心にこぞって異を唱えている。

 「非核化には地道な作業も必要だから1日や1週間では終わるまい。だが、米国が主唱し国際社会が支持してきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」は、現存の核兵器や核施設を含めて北朝鮮の核の脅威を解消するのが目的だ。

 会談の10日ほど前に、この目的がぶれるのは危険だ。仮に、長年にわたる段階的な核廃棄を許容すれば、段階ごとに履行をめぐるトラブルが生じかねず、脅威の解消は難しくなる。特に、相手は北朝鮮なのだ」(毎日新聞 6・12会談へ 米朝の綱引き 迅速な非核化は譲れない)。

 「トランプ氏は、米朝首脳会談で休戦状態にある朝鮮戦争の終結に合意する可能性に含みをもたせた。核放棄が中途半端な段階で北朝鮮が求める平和協定を締結するのは避けたい。東アジアの安全保障に空白が生じかねない」(米朝首脳会談を北の核完全放棄の契機に 日本経済新聞)。

 「米朝会談」明言 非核化への圧力を緩めるのか 読売新聞

 朝首脳会談 「非核化の原則」再確認を 産経ニュース

 しかし、「非核化」が唯一最大の議題だと言われて北朝鮮がのこのこと会談に出てくるだろうか。北朝鮮の最大の課題は南北和解と朝鮮半島の平和(平和協定)だろう。そのためなら非核化してもいいと言っているのである(米韓が北朝鮮に侵攻するための米韓合同の軍事演習を続ける中、どうして核を「完全放棄」できようか)。

新聞は、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を最優先することにより起こり得る事態に「責任」を持てるのか。自ら顧みよ。 

 「ジャーナリストの責任の方が学者よりはるかに大きく、責任感の点でも、誠実なジャーナリストになると、平均的にみて学者にいささかも劣るものではなく、勝っているということ、この点もほとんど完全に無視されている。それも当然で、無責任なジャーナリスの仕事がこれまでしばしば恐ろしい結果を生んだため、それが記憶にこびりついているからである」(マックス・ヴェーバー 職業としての政治 岩波文庫 43-44頁)。

 参考:【森島 賢・正義派の農政論】米朝首脳会談の議題は朝鮮半島の平和と非核化 農業協同組合新聞 18.6.4

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Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務。原発事故で「明るい農業・農村」の夢を失った老い先短い老人です。

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