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浪江町山林火災 放射性物質の周辺拡散 「健康影響は考えにくい」は時期尚早

農業情報研究所 201753日から転載

福島県が浪江町帰還困難区域内での山林火災に伴う放射性物質の周辺への拡散状況を把握するための空間線量モニタリングの結果を公表しています。

51日の発表では、「平成29年4月29日(土)夕方に浪江町井手地区十万山において林野火災が発生しましたが、5月1日(月)12時現在までの間、周辺のモニタリングポストでの空間線量率の測定値は通常の変動の範囲内にあり、有意な変動は確認されておりません」ということです。

52日にも、「大気浮遊じん(ダスト)の測定値については、平成28年度に県が実施した発電所周辺環境モニタリング計画に基づく調査結果(ND1.2 mBq/m3)の範囲内です。また、空間線量率についても変動はありませんでした」と発表している。

福島県放射線監視室 空間線量モニタリング結果情報http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/ps-kukan-monitoring.html

こうしたモニタリング結果を追認するかのように、今日の福島民友紙は、浪江の山火事デマ拡散 専門家ら「まどわされないで」と題し、「東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域になっている浪江町井手の十万山で4月29日に発生した山林火災は、2日になっても鎮火しなかった。インターネット上には放射性物質の拡散による健康不安をあおる信ぴょう性が低い情報や、その情報を否定する書き込みが集中している。火災に伴う放射線量の上昇による健康への影響はない。インターネットは誤った情報もネット上に残るのが特徴で対応が課題となりそう」などと報じている。

山林火災が発生して以降、短文投稿サイト「ツイッター」には火災に絡み「関東圏は外出注意」「関東地方から静岡県くらいまでマスク着用(中略)自衛しよう」など放射線の拡散を危惧する書き込みが続いている。

 書き込みが増えるにつれ、こうした"危険"情報を否定する書き込みも増加。公表されている放射線量などを挙げ「情報はデマ」と発信するケースが目立っている」そうである。

 確かに、「関東圏は外出注意」「関東地方から静岡県くらいまでマスク着用(中略)自衛しよう」などというのはデマ情報に近いだろう。

 しかし、「高濃度汚染で住民が未だ帰還できない「帰還困難区域」の周りは3月末に避難指示が解除されたされたばかりの旧避難区域だ。火炎・強風で飛び散る放射性物質がここに降り注ぐだろう。帰還を果たしたばかりの人々はどうなるのだろう」と書いた小生の記事も(浪江町帰還困難区域で山林火災 避難指示が解除されたばかりの周辺地域はどうなる?)「デマ」情報扱いされるのだろうか。

 大量に降り積もった放射性物質が周辺地域に降り注ぐというのは、当然予想されることで、デマでもなんでもない。問題は、それが人の健康に影響を及ぼすほどの放射線量変化をもたらすのかどうかということだ。福島県のモニタリング結果は「健康影響は考えにくい」(南相馬市立総合病院などで内外部被ばくを研究する坪倉正治医師)という確証を与えるものなのか。それが問題だ。

 「空間線量率の測定値は通常の変動の範囲内にあり、有意な変動は確認されておりません」とされた四つのモニタリングポストが設置されているのは、火災現場から真北の浪江町小丸多目的集会所、北東の双葉町寺松公民館、ほぼ真南の大熊町野上一区地区集会所、南東の大熊町中屋敷多目的研修集会施設である。これらの場所に限れば、「健康影響は考えにくい」と言えるだろう。しかし、他の「生活圏」ではどうなのか。それは分からない。

 現在も含む火災時の浪江町の風向きはどうだったのか。巻き上げられた放射性物質は、たまたまこれらポストの所在地の方には飛ばなかった?概ね南東(海から山)の風で西・西北に広がる山林内に飛んだ?しかし、葛尾村、川俣町、飯舘村の生活圏までは運ばれなかった?それなら「生活圏」のさらなる汚染は免れたことになる。

 ただ、その確証にはもっと多くの地点での線量監視が必要だ。浪江の山火事デマ拡散 専門家ら「まどわされないで」というのは、時期尚早ということだ。

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寿

Author:寿
農業情報研究所(WAPIC)=http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/の所長・所員・小使いを兼務

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